ロ包 ロ孝
 里美はかなりテンパってきた。

「それで更に『ダイエットしろ』だなんて! レディに向かってナンテ事言うのかしら、あのホモ野郎!」

「解った解った。言葉が汚いぞ? 里美。もう大概にしときなさい」

「どうなの? 栗原っ! アタシが痩せたらこの胸だって小さくなっちゃうのよ?」

「ぅにゃにゃにゃ〜ん」

 栗原は散々オッパイパンチやオッパイビンタを受けてグロッキーである。

「大体淳はどうなのよ!」

 お。今度は俺に矛先が向いたぞ?

「最近ちっとも構ってくれないし、アタシ寂しいんだから
 ……アタシがデブだから? こんな太い女は嫌いなのね?
 グスッ」

 怒り上戸かと思ったら今度は泣き上戸か。

「お前はデブじゃないよ。胸が大きいから痩せては見えないだけだって!
 それに今朝、様子を見に行ったじゃないか……」

「ふぇ〜ぇえん。やっぱり見た目デブだと思ってるんだ。ふぇえん」

 里美の泣き声は、うそ泣きみたいで面白い。

「だからデブじゃないって! 痩せて小骨が刺さりそうな女より、里美は女性らしくて素敵だよ」

 良く言えた! 自分を誉めてあげたい。

「朝はあんな風に言ったけどぉ、来てくれて嬉しかったんだからぁぁあ。
 うえ゙ぇ〜ぇん」

 可愛いヤツだ。おお、よしよし。

俺は里美を胸に抱き涙を拭いてやる。頭を撫で、髪を手櫛で梳いてやった。

「よしよし、よぉしよし」


∴◇∴◇∴◇∴


 次の日、例のカラオケ店。

「今日は栗原君が来てないな。知らないか?」

「いいえ? 仕事でも残ってるんじゃない?」

 栗原は連絡無しに俺を待たせた事が無いので、少々気になった。


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