ロ包 ロ孝
「むぅうう、ふぉおおっ! ダァ〜ッ」

 俺の放った吹き飛ばす【空陳】(クウチン)はその大男を逸れ、リーダーと思しき小男をふっ飛ばしたんス。

「ぉゎぁああ……」

「いけね。外しちまった。まあいい、次はお前の番だ! ふぉおお……」

 叫び声を残して飛んで行ったリーダーの姿を見て、暫らくは唖然としていた男でしたが突然。

「殺す!」

 こちらに向き直ると、突然俺に殴り掛かって来たんス。奴は猛獣のように目を見開き、食い縛った口からはキバのように歯が出ているしで、そのあまりの形相に恐怖心から、一際大きく術を放ってしまいました。

「ダッ、ダァーッ!」

「わあ〜ぁぁ……ァ」

 男はネオンが明るく照らす空を暫らく飛んだ後、幸運にも段ボールの集積所に落下しました。

「お前らも吹っ飛ばしてやろうかぁ?」

 俺はまた拳法のポーズを取りながら奴らに聞いたんです。

そしたら残ったゴロツキも、何故だか助けてやったサラリーマン達も、散りぢりに逃げて行ってしまいました。

結構俺も強いんだな、なんて思いましたよ。


───────


「……という訳っす」

 そうか、何事も無くて良かった。しかしこれは彼に注意しておかなければならない。

「栗原君、いや栗原!」

 俺は語気を強めて言った。

「は、ハイ」

 栗原は一瞬ビクッとして背筋を正した。

「契約書にも有るが、それが善意からの行動だったとしても、任務以外で人を傷付けてしまったら、俺達だって罪を問われるんだぞ?
 俺達が超法規的措置で守られるのは、案件に対して行動している時のみだ。
 ましてや相手が死んだりしたら取り返しが付かない。今後は充分注意するんだ。いいな!」


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