ロ包 ロ孝
 今回警察に同グループ内の人物から侵入日時と場所のリークが有った。日本での勢力争いを有利にする為、ライバルを排除するつもりなのだろう。

同じく提供された他の情報と併せ見て、その信頼性は高いと判断された。賊の犯行を未然に防ぎ、1人残さず検挙する手伝いを行うのが今回の任務だ。

「今回は何だか、本格的な事件じゃない?」

 もう里美が目を輝かせている。

「根岸さん、警察側から我々をサポートしてくれる人材は寄越して頂けるんですか?」

『勿論です。今回は逆に、所轄の警察署員をサポートして頂く形です』

「じゃ、とにかく。敵をバンバンやっつけちゃえばいいのね?」

「ぅお。凄いわくわくするぜ!」

 顔を見合わせて里美も栗原も、大いに盛り上がっている。

『そう、そのバンバンなのですが……』

 里美の大声は子機を使わなくても根岸に聞こえているようだ。

『リークされた情報に依れば、賊は銃を携行している事が充分に考えられます。細心の注意を払ってオペレーションに当たり、安全の内に任務を遂行して下さい』

「解りました。それでは場所と日時を……」


∴◇∴◇∴◇∴


 移動用のトランスポーターが例のパチンコ店に到着する。

ここは郊外の幹線道路沿いに出来た店で、車通りも少なくなった今はまるで「どうぞ侵入して下さい」とばかりにその無防備な佇まいを見せている。俺達はヘルメットとバトルスーツを装着して現場に降り立った。

「坂本さん。こういう場合は夜勤手当ても出るんすかね」

 時計は深夜1時を回った所だ。都心を離れたここの夜空には地上からのネオンの照り返しもなく、綺麗に星を瞬かせるのに充分な程暗く、空気が澄んでいた。

「それなら残業手当ても貰わないとな」


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