ロ包 ロ孝
  ガタン ドタン!

 忘れてきた銃に代わる対策を考える間もなく、大きな物音が店内に響いた。賊が侵入してきたのだ。

『2階の事務所から入っています。階段から離れて待ち伏せて下さい』

 古内警部補から連絡が入った。賊は店の周りに住宅が無いのをいい事に、物音を気にもせず次々と店内に侵入して来る。

それぞれがヘッドランプを付け、手には工具を持ち椅子に座ると、慣れた手付きでガラスの鍵を開け、内蔵されたCDロムを入れ替えて行く。

遊戯フロアーに降りてきたのは8人、人数はそれ以上増えないようだ。

「そろそろだな……。よし動くなっ! 手を上げろ!」

 俺は見せ銃の代わりに手をピストルの形にして、賊を威嚇する。

「!……?」

「あ、解らないか。フリーズ! ドント ムーヴ! ホールダップ!」

 突然の事に色めき立った賊は道具を放り出して手をあげたが、1人のヘッドランプが俺の手を照らし出すと、それが指ピストルだとバレてしまった。

「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ」

 先頭に居た男が間延びした笑い声を上げながらゆっくりとこちらにやって来る。

「仕方ない。ダ・ダ・ダッ」

  グェッ ガッ ギャッ!

 俺の放った打撃の【皆】(カイ)を受け、鈍い音を立てた男の手足は有り得ない曲がり方をした。

「ギャァァァアッ!」

 うるさい奴だ。

「パッ」

 みぞおちに【皆弱】を決めてやると男は静かになった。

  パンッ

 突然脇腹を角材で殴られたような痛みが襲う。辺りを見回すと、震える手に握られた銃から白煙が立ち昇っていた。

「栗原! 【空陳】(クウチン)で奴の銃を跳ね飛ばせっ!」

 俺は近くに居た栗原に指示を飛ばした。


< 137 / 403 >

この作品をシェア

pagetop