ロ包 ロ孝
「でも大ニュースじゃない! 栗原くんに早く知らせなきゃ! あたしがメールしとくわ? その内見ると思うし……」

 そう言うと里美は素早くメールを打ち込んで、直ちに送信していた。

「早いな。……でもお前のメール。誤字脱字が多いんだぜ? 知ってるか?」

「意味さえ通じればいいのよ。結構細かいのね」

 里美は頬を膨らませて携帯の画面を見ている。細かいと言えば、俺は昼間感じた三浦との違和感を今も拭い切れずに居た。

芸能人の名前が喉迄出ているのに思い出せないような……そんな感じである。

「そう言えばここの所、すっかりご無沙汰だよな」

 俺はそのもやもやした物を払拭する為に、里美との熱い一夜に逃げようとしている。

「淳から誘ってくれるの? うれしいナッ」

「たまにはね」

 ここは里美の愛に甘えてしまうとしよう。


∴◇∴◇∴◇∴


 次の日の昼休み。今日も俺は『山乃上ブレンド』のライトをすすっていた。

「坂本さんも大人になったね。最近コーヒーばっかりじゃないの」

「色々有ってね……」

「栗原さん。まだ会社に来てないものねぇ」

 食堂のおばちゃんに迄心配掛けて、あいつも何をやってんだか……。

 栗原も相当ショックだったんだろうが、人の命を奪ってしまう可能性は俺にも有る。その時は俺もどうなるか、正直解らない。

「ああ三浦さん。ココ、ココ」

 数日前、三浦に音力の件をさわりだけ話してみた。彼なら当然同意してくれるだろうと思っていたからだ。

「で、どうです? 話だけでも聞いてみては」

「はぁ……」

 どうしたのだろう。生返事をひとつしたきりで黙って俯いている。

「坂本さん。すみません!」


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