ロ包 ロ孝
『もしもし、根岸です。お電話宜しいですか?』
「ええ、大丈夫です」
やはり根岸だったが、仕事の話ではなかった。
『今、古内警部補が見えているのですが……どうやらあの通り魔事件。栗原さんの仕業らしいのです』
「ええっ? なんですって?」
調査の結果を重ね合わせると、暴漢や強盗等から市民を守る為に、栗原は術を使ったのだろうという事だ。
つまり通り魔事件の被害者達は、実の所はみな加害者だったのだ。
『どうも、古内です。お電話かわりました。一両日中には裏を取りますが、まず九分通り間違いないでしょう』
里美は黙って俺の手のひらを撫でている。
「そうですか。でもこれは罪になるのではないですか?」
『何とかして被害届けを取り下げさせます。それが無理でも打つ手は沢山有りますから』
古内警部補。敵には回したく無い相手だ。
『根岸です。ひとつ問題が有りまして……栗原さんを音力の査問委員会に掛けなければならないのです』
殺傷許可が出ていない案件で死人を出した事。術を任務以外で使用した事。メディアに載る事に依り、秘密が外に漏れる危険を生じさせた事。事情も無く連絡を断って、秘密裏に行動していた事。
以上の4点で審議されるそうだ。
『内規に依って、栗原さんの意見は参考程度に聴取する物とされています。
私もその決定は覆す事が出来ませんのでご了承下さい』
どんな決定が下されるのかは窺い知れないが、政府の裏機関が一個人を裁くのだ。無事で居られる保証は無い。
「それじゃ審議と言うより『裁定が下りる』といった感じですね」
根岸に嫌味を言っても通じないのは解っていたが、俺はそう言わずにはおれなかった。
「ええ、大丈夫です」
やはり根岸だったが、仕事の話ではなかった。
『今、古内警部補が見えているのですが……どうやらあの通り魔事件。栗原さんの仕業らしいのです』
「ええっ? なんですって?」
調査の結果を重ね合わせると、暴漢や強盗等から市民を守る為に、栗原は術を使ったのだろうという事だ。
つまり通り魔事件の被害者達は、実の所はみな加害者だったのだ。
『どうも、古内です。お電話かわりました。一両日中には裏を取りますが、まず九分通り間違いないでしょう』
里美は黙って俺の手のひらを撫でている。
「そうですか。でもこれは罪になるのではないですか?」
『何とかして被害届けを取り下げさせます。それが無理でも打つ手は沢山有りますから』
古内警部補。敵には回したく無い相手だ。
『根岸です。ひとつ問題が有りまして……栗原さんを音力の査問委員会に掛けなければならないのです』
殺傷許可が出ていない案件で死人を出した事。術を任務以外で使用した事。メディアに載る事に依り、秘密が外に漏れる危険を生じさせた事。事情も無く連絡を断って、秘密裏に行動していた事。
以上の4点で審議されるそうだ。
『内規に依って、栗原さんの意見は参考程度に聴取する物とされています。
私もその決定は覆す事が出来ませんのでご了承下さい』
どんな決定が下されるのかは窺い知れないが、政府の裏機関が一個人を裁くのだ。無事で居られる保証は無い。
「それじゃ審議と言うより『裁定が下りる』といった感じですね」
根岸に嫌味を言っても通じないのは解っていたが、俺はそう言わずにはおれなかった。