ロ包 ロ孝
 考えを巡らせる栗原。

「勿論辞めさせられるだろう。懲役なんか喰らったらどうしよう」

 膝に置かれた拳には、じっとりと冷や汗が握り締められている。

「あの事件は、犯人の国との間で存在自体が無い物となっています。オホンッ依って今回に限り不問と致します」

 フ・モ・ン?

「おっほっ! エヘン。無い物の責任は問えません。依って不問です」

「はぁ〜良かっ……」

「しかぁし!」

 栗原の言葉を遮るように委員長は言った。

「他の3件は、音力に取ってどれもゆゆしき問題です!」

「ひえ〜っ、ヤッパリ辞めさせられるんだぁぁ」

「栗原さんには『強制ボランティア』30日の罰に服して頂きます!」

「へ?」


∴◇∴◇∴◇∴


「おはようございます」

「ああ、おはよう。今日も笑顔が可愛いね」

 俺の挨拶も進歩した物だ。

「栗原はちゃんとやってるかい?」

「ええ、今朝もしっかり朝から頑張ってました」

 その『強制ボランティア』先は俺が提供させて貰った。無断欠勤をして迷惑を掛け続けた会社の便所掃除1ヵ月。

奴には丁度いい薬だ。

『坂本さん、お仕事です!』

 さて、今日はどんな犯罪が待ち受けているのだろう。俺と里美と栗原が居れば、何が来たって恐くない。そんな自信に満ち溢れている俺達だった。



『咆哮』第三部
〜裏蠢声操躯法宗家誕生〜

《完》


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