ロ包 ロ孝
会社が引けると俺達3人は、海袋駅から事件が頻発しているという高層ビル周辺の歓楽街へと向かった。
ここの界隈はとりわけ若者ばかりが溢れている訳では無い。色とりどりのネオンと、夜なお明るい店内照明。人々の話し声と店から漏れるBGMが入り混じった喧騒の中を、文字通りの老若男女が行き交っている。
「ああ、坂本さん。こっちこっち! ああ、いや古内さん。古内さんはそう仰いますが、やっぱりこのバナナ&カスタードホイップ+チョコチップが正解ですよ。このカスタードは本物です。ちゃんと卵から作ってますし、ホイップクリームも見てください、この粒々はバニラビーンズです。バナナは完熟以上に熟しているから甘いの甘くないのって……」
耳慣れた北田の甲高い声がする方を見ると、クレープを口一杯に頬張った古内警部補がペコリと頭を下げる。逆光の中に在っても解る特徴的なハンチング帽姿は、彼のトレードマークだ。
北田は座っているのか、カウンターの影に隠れていて見えないが、途切れる事無く話し続けているから目をつぶっていても捜し出せるだろう。
「北ちゃん! またこんな甘いの食べて! メタボライズしたお腹が更にメタボリゼーションされちゃうわよ?」
駆け寄ってカウンターを覗き込んだ里美が、開口一番言った。
「ああ、でも古内警部補だって食べてるじゃないですか! それにそう言うサトッチだってそのタプタプしたお肉……」
北田が椅子にふん反りかえってそう口にした瞬間、僅かに風切り音がした。
「ヒョォォォォオ」
全てを言い終わらない内にクレープを自らの口へ押し込み始める北田。古内警部補が不思議そうに成り行きを見守っている。
ここの界隈はとりわけ若者ばかりが溢れている訳では無い。色とりどりのネオンと、夜なお明るい店内照明。人々の話し声と店から漏れるBGMが入り混じった喧騒の中を、文字通りの老若男女が行き交っている。
「ああ、坂本さん。こっちこっち! ああ、いや古内さん。古内さんはそう仰いますが、やっぱりこのバナナ&カスタードホイップ+チョコチップが正解ですよ。このカスタードは本物です。ちゃんと卵から作ってますし、ホイップクリームも見てください、この粒々はバニラビーンズです。バナナは完熟以上に熟しているから甘いの甘くないのって……」
耳慣れた北田の甲高い声がする方を見ると、クレープを口一杯に頬張った古内警部補がペコリと頭を下げる。逆光の中に在っても解る特徴的なハンチング帽姿は、彼のトレードマークだ。
北田は座っているのか、カウンターの影に隠れていて見えないが、途切れる事無く話し続けているから目をつぶっていても捜し出せるだろう。
「北ちゃん! またこんな甘いの食べて! メタボライズしたお腹が更にメタボリゼーションされちゃうわよ?」
駆け寄ってカウンターを覗き込んだ里美が、開口一番言った。
「ああ、でも古内警部補だって食べてるじゃないですか! それにそう言うサトッチだってそのタプタプしたお肉……」
北田が椅子にふん反りかえってそう口にした瞬間、僅かに風切り音がした。
「ヒョォォォォオ」
全てを言い終わらない内にクレープを自らの口へ押し込み始める北田。古内警部補が不思議そうに成り行きを見守っている。