ロ包 ロ孝
 早速根岸に掛け合い「予算が無いのですよ」と渋る彼をおして、制服その他を調達して貰う事になった。

「一両日中には届けさせますので」

 さすがに政府機関だ。やることが早い。


∴◇∴◇∴◇∴


「坂本さん、見てくださいよ! 片仮名と漢字っすよ、このロゴ」

 北田が持って来た光沢の有るライトブルーのジャンパーには、背中に黄色い文字で『海袋エンジェルス』と書いてある。

「だっせぇえ!」

 イメージキャラクターのリアルなんだか漫画チックなんだか解らないフクロウと相まって、ものの見事に田舎臭いデザインのジャンパー。

俺達のサイズは伝えてある筈なのに、何故かすごく大きめに出来ている。パッと見ハッピのように見えるそれは、風俗店やキャバクラの呼び込みが着ている物みたいだ。

「ちゃ、ちゃんと伝えたんだぜ? 格好よく作ってくれって!」

 どうやら、根岸のセンスを甘く見ていたのは俺だけだったようだ。

「淳、その言い方が微妙なのよ。相手が根岸さんじゃ全然伝わらないわよ」

 里美が眉間に皺を寄せて苦笑いしている。

「そうっすよ、坂本さん。北田さんはコレで意外とセンスは悪くないですけど、根岸さんは……ねぇ」

 里美と目配せし合っている栗原は、欧米人のように肩を竦めた。

「ああ、栗原さん。センスを誉めて戴いたのは有り難いですが『コレ』は無いんじゃないですか?『コレ』は!」

 滅多に不機嫌な顔を見せない北田が口を尖らせている。しかも有ろう事か(これでもまだ)口数が少ない!

 一体どうしたのだろう。

「ああ、僕に頼まないからこういう事になるんです」

 そっか。俺達が北田に頼まなかったから、それでスネてるのか……。


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