ロ包 ロ孝
 制服の手配を頼む為に音力へ行った時、所用で北田は居なかった。それでやむなく根岸に頼んだのだが、どうやら彼は北田の仕事に首を突っ込みたがるキャラらしい。

俺が話をした時は渋っていた癖に、実は嬉々としてデザインやカラーリングに当たっていたらしいのだ。部下として北田は、上司の根岸に対して意見出来る訳もなく、不承不承納得の行かない制服を持って来たのだと言う。

考えてみれば、普段から濃紺のスーツにピンクのネクタイ(それも水玉!)を締めたり、モスグリーンのブルゾンに真紅のスラックスをはいていたりする根岸が作り上げた制服の出来は……。

こうなったのも当然の結末だった。

「まぁユニフォームはどうあれ、要は賊を挙げさえすればいいんだろう?」

 俺は逆ギレ気味にジャンパーを羽織ってみる。

「ほら、そんなに悪くないじゃないか」

「やだぁ……呼び込みのお兄さんみたいじゃない!」

「社長! いい子居ますよ? って感じっす」

 俺だって呼び込みみたいだって思ったさ! でも根岸自らが制服を作るなんて、しかもそこ迄センスが悪いなんて、考えも付かないじゃないかっ!

「解ったよ、解りました。俺が悪かったよ、ゴメン!」

 もはやそう言って謝るしかなかった。


∴◇∴◇∴◇∴


 次の日俺達がまず行なわなければならなかったのは、新しくなったフェイスストレッチャーの使い方を覚える事だ。(勿論北田の長々とした講釈付きなのは言う迄もない)

「酷い不細工にはならなくなったけど、どうも顔中が突っ張ってて腫れぼったい感じがしますね」

 自警団活動は中々面白そうだが、毎回注射をしなければいけないのと、顔に違和感を感じたまま行わなければならないのはどうにも気が滅入る……。


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