ロ包 ロ孝
俺は里美の言っている意味が良く解らなかったので、早速【朱雀】を使って聞き耳を立てた。
「キィィィィイ……わっ、うっ、うわっ! 駄目だ。表通りの音がうるさ過ぎる!」
耳鳴りでキンキンする頭を抱え込んでしゃがんだ俺をよそに、里美はそっぽを向いて笑いを堪えていた。
「ふふっ。でしょぉお? あたしも1回こういう場所で使ってみた事が有るのよ。
よっぽど注意して対象を絞らないと大変な事になるわ?」
それなら最初からそう言え!
───────
それからたっぷり1時間程見回りをして、30分程休む。始めから飛ばしてしまっては後が続かないからだ。
俺達の為に地元の不動産屋さんが用意してくれた空き店舗が『海袋エンジェルス』の拠点となった。
「こんちは! あ、もう今晩はだね」
すると、ひとの良さそうなお婆さんが、汗をかいたグラスに入ったアイスコーヒーを持って来てくれた。向かいに店を構える、純喫茶『銀杏』の女主人だ。
「すいません。でもお気遣い戴かなくても結構ですよ?」
「それに坂口さんはコーヒー飲めないんスけど! コーラが坂口さんのガソリンなんすから」
栗原が俺の肩越しに言う。偽名を使う事は忘れていないようだ。
「ばか、折角のご好意なんだから余計な事言うんじゃない、栗林!」
……ベタな偽名だが、頭一文字が同じなら呼び間違えても余り不自然にならずに誤魔化せるのでこうした。因みに里美は山岸だ。
「あらあら、そうなのかい? ごめんなさい。でもね、ぶっちゃけ商工会からお金は出るんだね。
だから遠慮無く飲んでおくれ、お客さん! そいじゃコーラ追加だね」
皺がちな顔を更に皺くちゃにして微笑む彼女。なかなかどうして商魂逞しい婆さんだ。
「キィィィィイ……わっ、うっ、うわっ! 駄目だ。表通りの音がうるさ過ぎる!」
耳鳴りでキンキンする頭を抱え込んでしゃがんだ俺をよそに、里美はそっぽを向いて笑いを堪えていた。
「ふふっ。でしょぉお? あたしも1回こういう場所で使ってみた事が有るのよ。
よっぽど注意して対象を絞らないと大変な事になるわ?」
それなら最初からそう言え!
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それからたっぷり1時間程見回りをして、30分程休む。始めから飛ばしてしまっては後が続かないからだ。
俺達の為に地元の不動産屋さんが用意してくれた空き店舗が『海袋エンジェルス』の拠点となった。
「こんちは! あ、もう今晩はだね」
すると、ひとの良さそうなお婆さんが、汗をかいたグラスに入ったアイスコーヒーを持って来てくれた。向かいに店を構える、純喫茶『銀杏』の女主人だ。
「すいません。でもお気遣い戴かなくても結構ですよ?」
「それに坂口さんはコーヒー飲めないんスけど! コーラが坂口さんのガソリンなんすから」
栗原が俺の肩越しに言う。偽名を使う事は忘れていないようだ。
「ばか、折角のご好意なんだから余計な事言うんじゃない、栗林!」
……ベタな偽名だが、頭一文字が同じなら呼び間違えても余り不自然にならずに誤魔化せるのでこうした。因みに里美は山岸だ。
「あらあら、そうなのかい? ごめんなさい。でもね、ぶっちゃけ商工会からお金は出るんだね。
だから遠慮無く飲んでおくれ、お客さん! そいじゃコーラ追加だね」
皺がちな顔を更に皺くちゃにして微笑む彼女。なかなかどうして商魂逞しい婆さんだ。