ロ包 ロ孝
 地図上に犯行現場や日時を記したフィルムを貼る為のホワイトボードを運び込み、電話やファックスも引き込んだ。休憩時間に見るテレビや冷蔵庫等も入れて、どうにか事務所としての格好が付いた所だった。

『海袋署からの連絡に依ると、昨夜も未遂2件、強盗1件が発生していたようです』

「なんですって? 昨日はそんな気配すらなかったのに!」

  ダンッ!

「畜生っ!」

 事情を聞いた栗原が机を叩いて悔しがる。

「ちょっとぉ栗はら、いや栗林ぃ。灰皿がひっくり返っちゃったじゃない!」

 里美が台拭きを濡らして持って来た。

「ス、スイマセン!」

 慌てて栗原も吸い殻を拾い集めている。

「いや、悔しいのは解るよ。俺も同じ気持ちだ」

「あたしだって悔しくない訳じゃ無いのよ? ちゃんと考えてるんだからぁ」

 やはり3人1組というのは効率が悪過ぎた。それにまだ、俺達が商店街を巡回しているというのも周知の事実では無いし、抑止力としての効果も薄い。

「賊を挙げるのも大切だが、やはり未然に犯罪を防ぐ対策も講じるべきだよな」

「こうなったら本当に自警団の募集をしたら? 北ちゃんを呼んで、チラシを作って貰いましょうよ!」

 ジャンパーの件では彼にヘソを曲げさせてしまったから、頼りにしているって所を見せておくのもいいな。

「あ、もしもし坂本です。あ、北さん? お願いが有るんですけど……」

『ああ、北田は用事で出払っていますけど』

 彼はまだ虫の居所が悪いらしい。

「いや、自警団を一般からチラシで募集しようかと思い立ちまして、それを北さんのセンスで是非お願いしたいんですよ」

『ああ、北田は留守なので他の者を行かせます』

 ……結構根に持つタイプみたいだ。


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