ロ包 ロ孝
「また誰かが来たら困るじゃないか」

「じゃあ奥の流しの所で、ねぇいいでしょ?」

 なんだか今日はえらく迫ってくるなぁ……歓迎なんだが場所が悪い。それに男はこういう(フィニッシュの無い)シチュエーションは辛いんだけど……。

しかし里美は物怖じしている俺に構わず、首にぶら下がるようにして俺の唇をついばんだ。

「んん。あっ……だって一緒に居るのに手も繋げないんだもん。淳だっていやらしい目であたしの事チラチラ見てたじゃない」

 ばれていたのか。俺は里美をかかえると、少し強めに唇を吸い返した。

「んんぅうっ! スゴいっ吸い込まれちゃうっ!」

「ここに置いておくよ? 煎餅はサービスだね」

 なに、いつの間にっ。一応没頭せず、周りの気配に注意していた筈なのに! さては永遠のライバル、伊賀忍だな?

「ああ、すいません!」

「ごゆっくり、存分に楽しむんだね」


───────


 頬を膨らませてソファーに座り込んでいる里美。

「すっかりやる気無くしたわよぉ。このロイミーティー、作り置きしてあったんじゃないかしらっ!」

「舘野さんも好意で早く作ってくれたんだろ? そんなに膨れるなよ」

「何よ、淳のだってすっかり膨れ上がってた癖にっ」

  バタンッ

 間の悪い所に栗原が戻ってきた。

「ただいま帰りましたぁ。異常無しっす」

「栗原ぁ、少し早いわよぉ? サボってたんじゃないでしょうね!」

 奥で里美がコップをガチャガチャと洗いながら答える。

「それにドアは静かに開け閉めしなさいね!」

「はぁぁぁい……坂本さんなんすか? コレっすか?」

 栗原が人差し指で角を作り、俺に伺いを立てる。


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