ロ包 ロ孝
「えっ本当に自分が選んでいいんですか? それじゃあ……柔道着の上に着ても違和感が無いCタイプがいいです」

 かくして正式な『海袋エンジェルス』のユニフォームが決った。


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 その後、和瀬田大学少林寺拳法部有志、縫製大学レスリング部有志、一般から参加した腕自慢の猛者達等が加わり、名簿上は俺達3人も含め総勢45人の大所帯になった。

当然全員を統率するのは困難だし(事務所にも入り切らない)諸氏の都合も有るので当番を決め、交代で巡回して貰う事となる。


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「昨日は惜しかったですね。後少しの所で取り逃しちゃって……。
 しかし……山岸さんは見掛けによらずお強いんですね」

 自警団活動も2週間を過ぎる頃にはだいぶ定着し、テレビの取材を受ける迄になっていた。

俺達は宗教上の護身術として、合気道に似た武術を体得した事にしてある。同じく宗教上、マスコミには出られないという理由を付け、取材時のリーダー役は渡辺にやって貰った。

「賊達も、自分らがテレビに取材されたのが面白く無かったんですよね?
 だから敢えて犯行に及んだのではないでしょうか」

「読みが冴えてるわね、達っつぁん。ここ1週間の犯行は激減してたもの、ネェ」

 渡辺は細くて皺がちなので、見た目40歳位に感じる。だから渡辺君じゃなく名前の『達』を取って『達っつぁん』なのだ。

「それよりあの技ですよ! どうやったらあんな風に投げられるんですか?
 投げると言うより飛ばすって感じでしたけど!」

 そう。昨日里美は【空陳】(クウチン)を賊に放った。蠢声操躯法は表法も裏法もそれこそ口先だけの技なので、どんな体勢でも発する事が出来る。投げるフリをしながら術を使う事などたやすいのだ。


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