ロ包 ロ孝
「坂口さん。残念だったね」
俺の服の裾を引っ張っているのは『銀杏婆ちゃん』だ。
「舘野さん。どうかしましたか?」
またどこからともなく現れた彼女が俺につぶやいた。
「あんた達が浮かれてる間に、すっかりヤラレちまったんだね」
「え? どういう事ですか、まさか!」
何も言わず、顎をしゃくって歩き出した舘野さんの後に付いていく。
「そのまさかさ。ほら、あそこだね」
路地裏の猫の額程しかない空き地に、半裸の若い女性が横たわっていた。
「まだ救急車は来て無いみたいだね。あたしが来たときはもう済んだ後だったんだね」
あの騒ぎの最中に、彼女は俺達の目と鼻の先で襲われていたのだ。自分達の力を過信していた俺達は、結果すぐ側で起こっている犯罪をむざむざ見逃してしまっていた。
∴◇∴◇∴◇∴
「ちっくしょぉぉおっ! 絶対許さねぇ!」
「栗……栗林。落ち着こう、ここで浮き足立っては賊の思うつぼだ」
「坂口さん。作戦を練り直さないといけないわね」
班のリーダーだけを事務所に召集し、残ったメンバーには直ちに巡回コースへ戻るように指示する。しかし、俺達の不手際でまた出し抜かれてしまったショックは大きかった。
∴◇∴◇∴◇∴
「バイクの彼は全身打撲と頸部の捻挫、手指の骨折以外異常は認められなかったようです。
様子見で今は集中治療室に入っていますが、命に別状は無いみたいです」
事後処理に残っていたメンバーから報告を受ける。
「それは良かった。でも集まって貰ったのは……
また賊にやられてしまったんだよ」
「なんですって?」
「ああっ、あのエリアは巡回出来てませんでした」
俺の服の裾を引っ張っているのは『銀杏婆ちゃん』だ。
「舘野さん。どうかしましたか?」
またどこからともなく現れた彼女が俺につぶやいた。
「あんた達が浮かれてる間に、すっかりヤラレちまったんだね」
「え? どういう事ですか、まさか!」
何も言わず、顎をしゃくって歩き出した舘野さんの後に付いていく。
「そのまさかさ。ほら、あそこだね」
路地裏の猫の額程しかない空き地に、半裸の若い女性が横たわっていた。
「まだ救急車は来て無いみたいだね。あたしが来たときはもう済んだ後だったんだね」
あの騒ぎの最中に、彼女は俺達の目と鼻の先で襲われていたのだ。自分達の力を過信していた俺達は、結果すぐ側で起こっている犯罪をむざむざ見逃してしまっていた。
∴◇∴◇∴◇∴
「ちっくしょぉぉおっ! 絶対許さねぇ!」
「栗……栗林。落ち着こう、ここで浮き足立っては賊の思うつぼだ」
「坂口さん。作戦を練り直さないといけないわね」
班のリーダーだけを事務所に召集し、残ったメンバーには直ちに巡回コースへ戻るように指示する。しかし、俺達の不手際でまた出し抜かれてしまったショックは大きかった。
∴◇∴◇∴◇∴
「バイクの彼は全身打撲と頸部の捻挫、手指の骨折以外異常は認められなかったようです。
様子見で今は集中治療室に入っていますが、命に別状は無いみたいです」
事後処理に残っていたメンバーから報告を受ける。
「それは良かった。でも集まって貰ったのは……
また賊にやられてしまったんだよ」
「なんですって?」
「ああっ、あのエリアは巡回出来てませんでした」