ロ包 ロ孝
「そうなんだよ。お向かいの舘野さんが発見したんだが、その時にはもう強姦された後だった。
 警察と救急への引き継ぎは彼女が今やってくれている筈だ」

「事故処理をしてる隙を突かれたんだ」「我々への当て付けに違いないですよ!」「そうだっ!」

「こうなったら休んでいる暇はないです!」「俺達も行きます」

 事務所で休憩していたメンバーも急遽巡回に出て行く。

「何か有ったら独断で行動せず、必ず一報を入れてくれ」

「解りました。行ってきます」

 そして俺は根岸に連絡し、北田に緊急呼び出しを掛けて貰った。

「はぁ、ああ、グループリーダーの皆さん。お待たせしました。北川と申します」

 寝ている所を叩き起こされでもしたのだろうか。気の毒に髪はボサボサ、ネクタイもかなり歪んでいる。

「北ちゃん、鏡見て来たの? 酷いナリよ? ホラいい男が沢山いるんだから、チャンとしないと!」

「ああ、サトッチ。僕の格好、そんなに酷いですか?」

 奥の洗面所に有る鏡でどうにか体裁を整えて来た北田は早速口を開いた。

「ああ、すいませんでした。急に呼び出しが掛かってしまったので。どういう経緯だったかと言いますとですね……」

 北田は俺達と同じ宗教の宗徒で、本業が探偵養成学校の教務主任という事にしてある。

「お話の途中に失礼します、北川さん。ホワイトボードに今回の経緯と問題点をまとめておいたので、目を通して貰えますか?」

 例の愚痴をだらだらと聞いている暇は無いので、北田が来る前に、俺が準備しておいたのだ。

「ええ? ああ、ハイ……ああ、なるほど……」

 彼は暫らく盤面を眺めて、またお得意のパソコンを取り出した。



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