ロ包 ロ孝
「今日はご苦労様でした。みんなのお陰で新たな犯行は有りませんでした。
 明日も……いや今日の日曜日も、連日で大変だけれど頑張りましょう」

「はいっ!」「うぃっす!」

「いっちょ雄叫びでも上げとくぅ?」

 里美がみんなの顔を見回して言う。

「そうっすね! じゃ、みんな環になって!」

 栗原の差し出した手のひらにそれぞれの手が重ねられた。

「海袋エンジェルスぅう〜」

「ファイ! っおおー!」


───────


 その日の夜、目の下にうっすらと隈を作った栗原がこぼしている。

「ふぁあ……眠いっス。俺、今日休日返上で会社に行ってたんれすよ」

 今取り組んでいる企画の申し送りで、土曜だというのに昼間も出勤していたのだ。

「お前も、もう少し実績を上げてたら良かったのにな。
 俺も里美もしっかり代理がサポートしてくれてるからこっちに専念出来るんだし」

「そんなぁ……駆けら(出)しのヒヨッ子に無理言わないれくらさいよ」

 全くろれつが回っていない。

「夕方少しは眠ったのか?」

「会社から帰って、こっちの用意したりして時計を見たら……もう出発の時間らったんれす」

 何とか返答はするものの、栗原は肩をだらんと垂らしていて、今にもつぶってしまいそうな目を必死に開けている状態だ。

「そうか……まぁほら、休憩の時に寝たらいいだろう。
 10分位早上がりすればワンサイクル(※注)しっかり眠れるしな。
 まだ早いし、2階で寝てたらどうだ?」

「ういっス、取り敢えずみんなが来るまれ眠ってきます」

 栗原はヨロヨロと頼りない足取りで階段を上がって行った。


※注 レム睡眠→ノンレム睡眠→レム睡眠の90分サイクルの事


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