ロ包 ロ孝
「もうネタ見せは終わったのか? そろそろ行くぞ?」

「ちょっとぉ、ネタ見せって何よ! 心配してくれたっていいじゃない、転ぶ所だったんだからぁ!」「坂本さん、彼女の教育はきちんとお願いします!」

 ひとっ子1人通らない深夜だというのに、元気なやつらだ。

「ああ、はいはい。そうですね。そうでした」

 各々勝手に喋らせておけ。


∴◇∴◇∴◇∴


「どうもお久し振り。坂口こと坂本です」

 事務所のドアを開けると、男臭い空気と共に歓声が溢れてきた。

「おおっ! ほんとだっ、微妙にいい男になってるぞ!」「山岸さんは凄げぇ可愛い!」

「栗林こと栗原っす」

「山岸こと山崎よ? みんな久し振りねっ! 元気にしてたっ?」

「偽名が安易過ぎでしょう!」「栗原さん、坂本さんにクリソツじゃん!」「山崎さぁん。俺にメアド教えてぇ!」

 事務所内にめいめいの声が重なり合い、ただの騒音となって渦巻いている。

「みんな好き放題言ってるな。
 まぁともあれ、今日も1日、巡回ご苦労様でした。もう聞いているとは思いますが……」

 俺は事細かに事情を説明した。

「はぁ、特殊機動隊ですか……」

「聞いたこと無いよな、スワットみたいな物かな」

「そんなような物だ。それで今日は、スカウトも兼ねてお邪魔させて貰ったんだ。
 選考基準は内々の事情からなんだが……」

 祖父が全く頼りにならないので、気心が知れたエンジェルスメンバーを音力エージェントとして誘い入れるつもりでここに来た。彼らには音力の真意を探る密偵として、俺の手助けをして貰うのだ。

俺は達っつぁんこと渡辺と、少林寺拳法部で忍術に明るい遠藤他、数名を音力に呼んで面接する事にした。


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