ロ包 ロ孝
「あ、は、はいっ! すみません」
「達っつぁんはエンジェルスの時から特に、術の秘密を知りたがってたよな。これからそれを説明するんだから、よそ見してる場合じゃないぞ?」
「エヘヘェェ、解りました」
頭に手をやり、愛想笑いを浮かべながら頷く渡辺。強面(コワモテ)の彼が普段の生活では見せないだろう、にやけた表情である。突然訳の解らない施設に呼び付けられたのだ。戸惑って当然だ。
遠藤にしろ岡崎にしろ、他の3名のメンバーも一様にこの場の雰囲気には馴染めないようだ。
「君達を信用しない訳じゃ無いんだが……」
そして各々に誓約書を配りながら俺は、他の修練中のメンバーや音力に関係ない一般の人に秘密を漏洩させない事等を伝える。
「解ったらサインして、拇印を押してくれ」
渡した朱肉の容器を開けようとして蓋を落としたり、転げ落ちたペンを追い掛けたりしていて、彼らは明らかに動揺しているのが見て取れる。
「坂本さん! こ、この誓約書、宛名が警視総監じゃないですか! もしかして約束を破ったら逮捕なんですか?」
「ちゃんと守ればいいだけの話じゃないか」
「それはそうなんですけど……警視総監って……」
勿論逮捕に到るだけの法的根拠も拘束力もないが、敢えてそれには触れずにおいた。
渡辺達はすっかり及び腰になっている。しかし素質が無かった時に外部へ情報が漏れないようにと用意した、抑止力としての誓約書だ。権威はより大きい方が効果も有る。実際その思惑通りだった。
「坂本さん。ここで一体これから何が始まるんですか?」
「まぁ詳しい事は後で説明するよ」
俺の煮え切らない態度も、彼らの不安を煽るのに一役買っているようだ。
「達っつぁんはエンジェルスの時から特に、術の秘密を知りたがってたよな。これからそれを説明するんだから、よそ見してる場合じゃないぞ?」
「エヘヘェェ、解りました」
頭に手をやり、愛想笑いを浮かべながら頷く渡辺。強面(コワモテ)の彼が普段の生活では見せないだろう、にやけた表情である。突然訳の解らない施設に呼び付けられたのだ。戸惑って当然だ。
遠藤にしろ岡崎にしろ、他の3名のメンバーも一様にこの場の雰囲気には馴染めないようだ。
「君達を信用しない訳じゃ無いんだが……」
そして各々に誓約書を配りながら俺は、他の修練中のメンバーや音力に関係ない一般の人に秘密を漏洩させない事等を伝える。
「解ったらサインして、拇印を押してくれ」
渡した朱肉の容器を開けようとして蓋を落としたり、転げ落ちたペンを追い掛けたりしていて、彼らは明らかに動揺しているのが見て取れる。
「坂本さん! こ、この誓約書、宛名が警視総監じゃないですか! もしかして約束を破ったら逮捕なんですか?」
「ちゃんと守ればいいだけの話じゃないか」
「それはそうなんですけど……警視総監って……」
勿論逮捕に到るだけの法的根拠も拘束力もないが、敢えてそれには触れずにおいた。
渡辺達はすっかり及び腰になっている。しかし素質が無かった時に外部へ情報が漏れないようにと用意した、抑止力としての誓約書だ。権威はより大きい方が効果も有る。実際その思惑通りだった。
「坂本さん。ここで一体これから何が始まるんですか?」
「まぁ詳しい事は後で説明するよ」
俺の煮え切らない態度も、彼らの不安を煽るのに一役買っているようだ。