ロ包 ロ孝
「へええ、モンゴルの」

 一様に頷くメンバー達。しかし合点が行かないようである。するとみんなを見回していた渡辺が意を決したように口を開いた。

「それは解ったんですけど、これが機動隊と、そしてあの秘術とどういう関係が有るんですか?」

 他のメンバー達もそう言いたかったのか、みな首を縦に振りながら身を乗り出してくる。俺は徐ろにブロックが壁状に積まれた一画に移動して、

「ダッ」

 短く打撃の【皆】(カイ)を発した。

  ボコッ!

 鈍い音を立てて壁が砕け散り、白煙と共にブロックが崩れ落ちる。

「っ!」「なっ!」

 彼らはまだ煙の収まらないブロックの山と俺とを交互に見ながら、何が起こったのかを必死に考えている。

「坂本さん。これも……あの術なんですか?」

「そうだよ」

「でも、ブロックに触れていませんでしたよねっ」

「ああ、触ってない。ゴホッ、もっと換気設備を強化しないと駄目だな。ゲホッ」

 俺は立ち込める煙の中、そう呟きながら誰かが答えに達するのを待っていた。

「もしかしてこれ……『気』を発して……」

「ブブー、はずれ。他に解る人」

「火薬だ!」

「ブッブー、不正解。そんな特殊効果を見せて何の得が有る?」

「解った!」

 我が意を得たりと顔を輝かせて渡辺が立ち上がる。

「解りましたよ坂本さん。手品でしょう!」

 だからお前達を楽しませてどうするんだ!

「これは岡崎君に最も関係が有る『声』だ」

 俺はみんなの顔を見回して反応を窺った。

「あっ、前にテレビで声を使ってコップを割る人を見ました!」

 岡崎が叫んだ。

「なるほど、共振ですか。しかしそんなに正確な音程を持続させるのは相当な訓練が要りますね」

 遠藤が続いて推測する。


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