ロ包 ロ孝
祖父と共にやって来たのは、壁の所々が傷んではいても、いかにも頑丈そうな造りの蔵。ここは俺が幼い頃、秘密基地として良く遊んでいた所だ。
子供の頃には無かった、幾重にも施された錠前や電子ロックを解除して、祖父は扉を押す。
ギィィィィッ
まるでホラー映画のように蝶番(チョウツガイ)が音を立て、それは開いた。
中は薄暗く、得体の知れない置き物や古ぼけた甲冑がそこここに置いてある。カビ臭いような、樟脳臭いような空気もまた懐かしい。
「あれは確か、淳が小学生の頃じゃったか……」
祖父が倉の中を物珍しそうに眺めていた里美に話し掛ける。
「この棚に週刊誌のいやらしいページを広げて並べておっての」
「え? 坂本さんがですか?」
里美が目を輝かせて身を乗り出した。何をいきなり言い出してるんだ、このジジイは!
「そうじゃ、それでな?」
「ちょ、ちょっと待てよ爺ちゃん! そんな話今すんな!」
少しドスの効いた声で祖父の話を遮る。硬派ぶってはいるがその実、シモの事には目が無いという所を里美には知られたくなかった。
「怖いのぉ。そんなに慌てる所を見ると……淳は里美さんを好いとるんかの? 里美さん。淳ていう奴は昔から……」
このままジジイを放っておいたら何を言い出すか解らない。話を遮らなければ。
「じ、じいちゃぁんっっ!!!!!!!」
俺は叫んだ。
するとにこにこしながら2人のやり取りを聞いていた里美が、余りの声に堪らず耳を塞いで座り込む。
「そうそう、その声じゃよ。フォッフォッフォ」
彼女は暫らく耳に手を当てうずくまっていたが、ようやく立ち上がって口を開いた。
子供の頃には無かった、幾重にも施された錠前や電子ロックを解除して、祖父は扉を押す。
ギィィィィッ
まるでホラー映画のように蝶番(チョウツガイ)が音を立て、それは開いた。
中は薄暗く、得体の知れない置き物や古ぼけた甲冑がそこここに置いてある。カビ臭いような、樟脳臭いような空気もまた懐かしい。
「あれは確か、淳が小学生の頃じゃったか……」
祖父が倉の中を物珍しそうに眺めていた里美に話し掛ける。
「この棚に週刊誌のいやらしいページを広げて並べておっての」
「え? 坂本さんがですか?」
里美が目を輝かせて身を乗り出した。何をいきなり言い出してるんだ、このジジイは!
「そうじゃ、それでな?」
「ちょ、ちょっと待てよ爺ちゃん! そんな話今すんな!」
少しドスの効いた声で祖父の話を遮る。硬派ぶってはいるがその実、シモの事には目が無いという所を里美には知られたくなかった。
「怖いのぉ。そんなに慌てる所を見ると……淳は里美さんを好いとるんかの? 里美さん。淳ていう奴は昔から……」
このままジジイを放っておいたら何を言い出すか解らない。話を遮らなければ。
「じ、じいちゃぁんっっ!!!!!!!」
俺は叫んだ。
するとにこにこしながら2人のやり取りを聞いていた里美が、余りの声に堪らず耳を塞いで座り込む。
「そうそう、その声じゃよ。フォッフォッフォ」
彼女は暫らく耳に手を当てうずくまっていたが、ようやく立ち上がって口を開いた。