ロ包 ロ孝
『解りました。では坂本さん、お仕事です。
 今回もまた、かなり危険な案件ですし、色々と込み入った打ち合せも必要なので、北田と音力で落ち合って下さい』

 根岸にそう言われて俺達は音力に向かった。


∴◇∴◇∴◇∴


「わざわざ呼び付けるなんて、また最新兵器でも有るんですかね」

「さぁ、どうだかな。スパイ映画じゃあるまいし」

 俺達がロビーで話をしていると、北田が到着した。

「北ちゃんお疲れ様。ビリの人がみんなに奢るのよね?」

「ああ、すぐそうやって僕をイジメるんだから。コーヒーでいいですか?」

「あたしミルクティー」「俺はコーラで」「俺はお茶がいいっす」

「ああ、あ、3人いっぺんに言われても解りませんよぉ……」

 北田に奢らせたドリンクを持って、話がし易いようにと小会議室に移った。そこで行われた説明に依ると、今回の賊は左翼系の武装ゲリラだそうだ。温泉地として有名な綿海(ワタミ)市の廃ホテルに拠点を構え、武器や弾薬を運び込んでいる最中らしい。

「お渡しした図面をご覧下さい。僕の部下数名が1週間に渡って潜入を試み、設計監理を行っていた会社から入手した施工図を元に、ホテルの見取り図を作成しました。なにせ活動が夜に限られていたのでかなり手間取りましたが、ほぼ完璧に近い物が出来上がったと思います」

 お、それだけか? 随分話が短いな。

「詳細はですね。こちらをご覧下さい」

 甘かったかっ!

 北田はスクリーンに映し出された画像を指しながら突入経路や破壊箇所、賊の拠点等の説明を行い、作戦とその注意点、新たに追加された秘密兵器の取り扱いについてなど、延々2時間にも渡って休むことなく喋り続けた。


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