ロ包 ロ孝
「今、なんか光りませんでしたか?」

 栗原がそう言った途端、エントランス脇の車寄せに車が入ってきた。

  ブォン! キキィーッ

「まずいな。ポイント3に隠れて様子をみよう」

 北田の部下が侵入した際、要所要所へ熱感知センサーを取り付けていた。その反応を解析した結果、此処2日ばかりは人の出入りが無い。今日も反応が無かったので侵入を試みたのだが、タイミング悪く賊らしき一団が現われてしまったのだ。

「今出口へ向かったら、奴らと鉢合わせてしまう。それが賊だったりしたら、それこそ台無しだ」

 俺は物陰に潜みながら暫らく様子を窺った。

建物の内部は防犯上の行動導線をきちんと計算して設計されている為、不用意に移動する事が出来ないし、遮蔽物が有るので地獄耳の【朱雀】も使えない。

「仕方ない。何か動きが有る迄待とう」

  キュキュルルッブルン ブォオオオ……

 スターターが回って、低いエンジン音が響く。地下に有る非常用自家発電機が始動したようだ。ここ迄施設を熟知しているのだ、奴らは賊に違いない。

その賊共が司令室兼談話室という向きで使用している大宴会場は、窓や襖が全て目張りしてあり、光が外に漏れないようになっている。発電機を回せばごく普通に電気が使えるのだ。

「坂本さん。何でこのコンセントは使えないんスかね。
 携帯充電出来ないんすけど……」

「このブロックのブレーカーを上げてないんだろう。
 なんだ、電池が無いのか?
 携帯が無いと別行動で自分の位置が解らなくなる。俺達から離れないようにしろ」

「解りました」

「今回は携帯が無いと不便だし、危険も増す。
 当日は宿でフル充電しておくようにな」


< 254 / 403 >

この作品をシェア

pagetop