ロ包 ロ孝
 今度は里美が言う。

「ねぇ淳。あたし携帯の使い方、さっぱり解らないんですけど」

 ポイントやセンサーの読み方ぐらいは解っていないと、単独行動にになった時に辛い。

「栗原は」

「多分大丈夫だとは思うんすけど」

「多分じゃ駄目だ。パパッと説明するから、よく聞いておけよ」

 俺は携帯を見せながらみんなに説明する。

「伏せ図への切り替えはココ、メールボタンだな。それで縮尺を変えるのはココ。サイドボタンで増減させる。
 緑がセンサーの場所で、中心が赤く光ってるのが反応有りのセンサーだ」

 俺達の携帯は音力支給のお揃いなので、説明に多くの時間は掛からなかった。

「意外と簡単だったわね。きっと北ちゃんから説明されたから解らなかったんだわ?
 やっぱり淳の説明は解り易いわぁ、愛の力ね?」

「本当に解ったのか?」

「解ってるってば! ポイント3はここだから……この反応があたし達でしょ?
 でもここからだと脱出経路が無いわね。どうするの?」

 山の頂上付近の斜面に貼り付くように建っているその廃ホテルは、客室全部から海が望めるようになっていた。

その機能を果たす為と防犯上の理由から、客室同士を結ぶ通路は迷路のように入り組んでいる。

要塞にするにはまさにうってつけの場所だった。

「うぅぅん、そうだな。賊が落ち着くのを見計らって、従業員通路から脱出しよう。
 宴会場の裏を通る時は【者】と【玄武】(ゲンブ)を同時に使って『9倍力』ですり抜けるんだ」

 3倍力【者】の裏法である【玄武】は、3倍活性を人に施す事が出来る術である。

【者】に依って高められた体力を更に【玄武】で3倍にして、超高速で駆け抜けようという作戦だ。


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