ロ包 ロ孝
「ほら、栗原も起きろ! お待ちかねの飯が来るぞ?」

「うにゃ、里美さぁん。坂本さんが寝てる間に1回、いいでしょ? ふふ……」

 布団を抱き締めながら幸せそうに寝返りを打つ栗原。

 この野郎。夢の中で里美にちょっかい出してやがる! ちょっと懲らしめてやるか。

俺は栗原の顔をカムフラージュのペイントで真っ黒にしてから揺り起こす。

「おい栗原、飯が来るぞ? 顔でも洗って目を覚まして来い!」

「……ふゎぁい。おはようございますぅ」

 栗原は目をゴシゴシとこすりながら、覚束無い足取りで洗面台へと向かった。

「里美。起きろ、ほら」

「んん。こんなとこじゃ駄目よぉ、淳……」

 里美も寝呆けている。すると、

「ンウァアアア゙ッ!」

 鏡を見た栗原が叫んだ。

「な? 何? 何が有ったの?」

 パッチリと目を覚ました里美はノーメイクでも可愛い。

「いや、みんな起きないんで、目覚まし代わりにネ」

 たとえ夢でも里美に手を出そうとした罰だ。

  ドタドタドタドタ

「お客様、どうかされましたか?」

 ドアを開けると血相変えた給仕さんが立っていた。

「ハハハッ、大丈夫です。
 少しいたずらが過ぎたみたいで、お騒がせして申し訳ない。
 あの、ついででナンですが、そろそろ食事をお願いしてもいいですか?」

「はぁっ、何も無くて良かった。はい、かしこまりました。すぐお持ちしますね」


───────


「いやぁ、びっくりしたっすよぉ。鏡を見たら真っ黒なんだから!」

「フフフ。淳も結構イタズラっ子だから……栗原も大変ね」

「……って里美! 着替えながら話をするな! 栗原もまともに見てるんじゃない!」


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