ロ包 ロ孝
ここは音力の或る一室。帰り支度を整えた里美がやって来て、溜め息と共に漏らした。
「ハァ。今日も何だか、あれよあれよという内に終わっちゃったわねぇ」
「ああ、あっと言う間だった。……考えてみれば、俺達も随分駆け足でここ迄来た気がするよな」
綿海(ワタミ)のオペレーションから3年が経ったが、その間に俺は里美と結婚し、現在は音力の総監督として采配を振るっている。
「気付けば俺も、すっかりここの人間になっちまったし」
契約社員として席を置いていた会社にも、殆ど行けなくなり退職。
それからというものは、来る日も来る日も凶悪犯罪と対峙するのが俺達の日常だった。
エージェントとしての部下も増え、音力の活動も軌道に乗り組織が拡大する中で、術に精通した指導者が必要となった。
俺が投票に依り選出されたのが、まだその呼び名に馴染めないでいる『統括ファウンダー』というポジションだ。
最初に根岸と交わしたエージェントを辞する権限を行使する迄も無く、近頃ではすっかり現場に出る事も無くなっていた。
「しかし俺達、ここまで良く生きて来れたよな……」
「ちょっとちょっと坂本さぁん! 聞いて下さいよ。また達っつぁんがヘマをやらかしたんすよ?」
「おいおい、なんだよ。今度は何をやったんだ?」
そんな感慨に浸っている暇も無く、直接的なエージェントの指導と監督を任せている栗原が俺達の元へ泣き付いて来た。
人質を取る目的で小学校に侵入した武装集団を排除するオペレーションの際、渡辺が勢い余って打撃の【皆】(カイ)を全力で放ち、校舎の窓ガラスを全部割ってしまったらしい。
「ハァ。今日も何だか、あれよあれよという内に終わっちゃったわねぇ」
「ああ、あっと言う間だった。……考えてみれば、俺達も随分駆け足でここ迄来た気がするよな」
綿海(ワタミ)のオペレーションから3年が経ったが、その間に俺は里美と結婚し、現在は音力の総監督として采配を振るっている。
「気付けば俺も、すっかりここの人間になっちまったし」
契約社員として席を置いていた会社にも、殆ど行けなくなり退職。
それからというものは、来る日も来る日も凶悪犯罪と対峙するのが俺達の日常だった。
エージェントとしての部下も増え、音力の活動も軌道に乗り組織が拡大する中で、術に精通した指導者が必要となった。
俺が投票に依り選出されたのが、まだその呼び名に馴染めないでいる『統括ファウンダー』というポジションだ。
最初に根岸と交わしたエージェントを辞する権限を行使する迄も無く、近頃ではすっかり現場に出る事も無くなっていた。
「しかし俺達、ここまで良く生きて来れたよな……」
「ちょっとちょっと坂本さぁん! 聞いて下さいよ。また達っつぁんがヘマをやらかしたんすよ?」
「おいおい、なんだよ。今度は何をやったんだ?」
そんな感慨に浸っている暇も無く、直接的なエージェントの指導と監督を任せている栗原が俺達の元へ泣き付いて来た。
人質を取る目的で小学校に侵入した武装集団を排除するオペレーションの際、渡辺が勢い余って打撃の【皆】(カイ)を全力で放ち、校舎の窓ガラスを全部割ってしまったらしい。