ロ包 ロ孝
「坂本さん。遠慮しないで……じゃ無いんですか?」

「何言ってんだ! お前らに全力で喰われたら、小さい会社は倒産するぞ?」

 皆の勢いが少しずつ出てきたみたいだ。折角久し振りに集まれたのだから、楽しい会にしたい。三浦さんだってそう思っている筈だ。

「またまたそんな大袈裟な。遠藤! ファウンダーの財布、すっからかんにさせっぞ?」

「よしきた! それじゃ私も気合い入れさせて頂きます」

 おお、遠藤の立ち直りが早くなった。やっぱりみんな、しっかり成長しているんだな。

「まぁ仕方ない、遠慮は要らないからガンガン頼め。だがな達っつぁん」

「はいぃ?」

「ファウンダーはや・め・ろ」

「は、はいっ! ……ぁぁ怖ゎ、殺されるかと思ったぁ」

「なんだってぇ?」

「何でも有りまっしぇえん!」

 いつものやり取りに、やっとみんなの顔に笑顔が戻った。

渡辺達の後輩に当たる『海袋エンジェルス』のメンバー達も何名かが音力に入り、現在OB会は12名となっている。元々は音力の陰謀を暴く為の会だったのだが、現在は共に同じ苦労を分かち合った同胞として、音力内での鬱憤や憂さを笑い飛ばすのが目的となっている。

「ああ旨かった! ご馳走様でした」

 食事も終わり、デザートの杏仁豆腐と胡麻団子が運ばれて来た。

「坂本ふぁうん……。たまには里美さんとかも連れて来て下さいよ」

「坂本なんだって? ……いや里美は最近出不精でな。勤務が終わるとすぐ帰っちまうんだ」

「はは、坂本さんって言ったんです。でも里美さんはデブの内には入りませんよ。ぽっちゃり位じゃありませんか」


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