ロ包 ロ孝
「ああ。あれは只のホモよ。喋り過ぎを直せば、もう少し使えるんだけど。あたしが上司だって事は、これっぽっちも知らない筈よ?
それに知っていたとしたら、もうとっくに喋ってるわよね、あははは」
それはそうだが、まさか里美が根岸の上司だなんて!
「あたしは、いやあたし達音力はね。どうしても蠢声操躯法が欲しかった。貴方の力が必要だったのよ!」
里美が欲しかったのは俺ではなく、俺の力と蠢声操躯法だったのだ。
俺は膝から崩れ落ち、やっとのことでテーブルに片肘を付いて身体を支えていた。
「それで……それで俺に近付いたって言うのか? 俺を色仕掛けでたらし込んだのか?」
俺は怒りを通り越した衝動に貫かれ、全身の震えを抑える事が出来なかった。テーブルに乗ったグラスとピッチャーが、ガタガタと揺れている。
「最初はそれこそが目的だった。でも、淳を愛したのは嘘じゃない。任務に結婚なんて無かったもの。
貴方にいつ本当の事を話そうか、あたしもずっと悩んでいたんだからっ!」
確かに俺に注がれていたのは本物の愛だった。それは俺が一番良く解っている。いつも里美の瞳には俺が映っていたし、俺の心を一瞬でも揺り動かした女性は居ない。日々愛されている実感に満たされていた俺が、他の女性に心を惹かれる筈も無かった。
それに長い間騙されていたと解った今も尚、俺は里美を憎めずに居る。やはり知らない振りを決め込んで、里美が自ら吐露するのを待っているべきだったのか……。
だがしかし! 里美の話が真実なら、蠢声操躯法ばかりか裏法も手に入った時点で、その目的は十二分に達成された筈だ。
それに知っていたとしたら、もうとっくに喋ってるわよね、あははは」
それはそうだが、まさか里美が根岸の上司だなんて!
「あたしは、いやあたし達音力はね。どうしても蠢声操躯法が欲しかった。貴方の力が必要だったのよ!」
里美が欲しかったのは俺ではなく、俺の力と蠢声操躯法だったのだ。
俺は膝から崩れ落ち、やっとのことでテーブルに片肘を付いて身体を支えていた。
「それで……それで俺に近付いたって言うのか? 俺を色仕掛けでたらし込んだのか?」
俺は怒りを通り越した衝動に貫かれ、全身の震えを抑える事が出来なかった。テーブルに乗ったグラスとピッチャーが、ガタガタと揺れている。
「最初はそれこそが目的だった。でも、淳を愛したのは嘘じゃない。任務に結婚なんて無かったもの。
貴方にいつ本当の事を話そうか、あたしもずっと悩んでいたんだからっ!」
確かに俺に注がれていたのは本物の愛だった。それは俺が一番良く解っている。いつも里美の瞳には俺が映っていたし、俺の心を一瞬でも揺り動かした女性は居ない。日々愛されている実感に満たされていた俺が、他の女性に心を惹かれる筈も無かった。
それに長い間騙されていたと解った今も尚、俺は里美を憎めずに居る。やはり知らない振りを決め込んで、里美が自ら吐露するのを待っているべきだったのか……。
だがしかし! 里美の話が真実なら、蠢声操躯法ばかりか裏法も手に入った時点で、その目的は十二分に達成された筈だ。