ロ包 ロ孝
 彼の国のミサイル発射実験等が有り、一時期急激に危機意識が高まったが、当該実験は人工衛星の打ち上げとされ収束。

政府部内からもパワー・オブ・プロジェクトの存在意義そのものを疑問視する声が上がる中、生き残りをはかる為に『ザ・グラップラー』が打ち出したのは、『ア・サイエンティフィック・ウェポン』との合併だった。

兼ねてから警察と繋がりが深かった『ア・サイエンティフィック・ウェポン』が持つ警察内の人脈から後押しを受け、息を吹き返した2者合同プロジェクト。

そして両者のシンクタンクが発見した物こそが『蠢声操躯法』だったのだ。

パワー・オブ・プロジェクトのメンバー以外、ただの工作員から実動部隊の最高責任者として里美が抜擢された事に不満を抱く者も居たが、そういう彼らは『ザ・GMO』へと移籍した。

そして2003年に締結されたカルタヘナ議定書に基づき『ザ・GMO』は頓挫。

それを期に合同プロジェクトは『パワー・オブ・ザ・ヴォイス』……声音の力……『音力』となった。

生き残る為の苦肉の策として警察の補助的機関に甘んじた活動を続けて行く中で、シンクタンク内に浮上したのは独立機関としてのプライドと、新たな敵国の出現だった。

以前根岸が政府高官との食事会を頻繁に繰り返していた事が有ったが、これは水面下で各省庁に彼の国の危険性を吹聴し、賛同を得て活動をし易くする為の根回しだったのだ。

当初は取り合わなかった各高官も、前首席の没後その権力を引き継いだ李 万歳の軍国主義と強権政治体制を憂慮し始め、彼の国への諜報活動を開始するよう要請して来た。


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