ロ包 ロ孝
 調査の結果、現在配備されている大陸間弾道ミサイルの内、200基の標的は我が国であるとの結論に達したが、何より政府部内を震撼させたのは彼の国で見つかった『日本征服計画』のシナリオだった。

その内容はこうだ。

一、経済大国の日本から資金力を奪う為、途上国らと共謀し海外協力にかまけさせ、経済的困窮に陥れる。

二、数々の風評を流布し、若年層の労働意欲を削いだり、関係企業のCM中にサブリミナル効果を狙った中高年の自殺画像を挿入し、働き盛りの自殺を誘発させて日本の国力を弱める。

三、スポーツ面や産業面など、アジア各国の様々な舞台で事件を起こし、摩擦を生じさせ、まずはアジアから孤立させる。

四、日本に駐留している大国兵士を拉致し、マインドコントロールで操作。駐留地周辺で犯罪を行わせ住民感情を煽り、最終的に両国の関係を悪化させる。

五、世界的に孤立し、巨悪となった日本に、大義名分を以て正義の鉄槌を振るう。

その段取りは、着々と最終段階まで進んで来ているというのだ。


───────


「里美……」

「はい……」

「長いよ」

 俺はそれだけ言うと、おしぼりを目に乗せてソファーへ身を投げ出した。

「北田のどんな説明よりも長かった」

「ごめんなさい。これでも掻い摘んだのよ? まだまだ人間関係の細かい話も有るんだけど……」

「いやいや、これ以上聞いたらそれこそ頭がパンクしちまう」

 急いで身体を起こして里美に向き直ると、すっかり冷えきったお好み焼きの上に、おしぼりが見事被さった。


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