ロ包 ロ孝
 表立った国交の無い彼の国へどうやって潜入するつもりなのかは気になったが、そこはお上に任せる事にして、今は俺の仕事をこなさなければならなかった。

「さ、坂本統括ファウンダー。また随分物凄い事になっているんですけどっ!」

 オペレーションのメンバーである渡辺達がやって来た。

「なんだ、達っつぁん。どうした」

「だってあの辞令書……最重要機密書類で、読後要焼却ってなってたんですよ? ビビりまくりですよ」

 そっちか!

「本当にお前らは重要書類に弱いな! 内容にビビったんじゃないのか?」

「いえ、別に。蠢声操躯法のニューバージョンを教えて貰えるとかは書いて有りましたけど」

 まだオペレーションの全貌は明かされていないらしいが、念の為に遠藤にも確認を取る。

「遠藤くん、本当か?」

 彼もきょとんとした顔で頷いている。

「ひ、酷いなぁ。自分は信用されて無いんすか」

「いや、一応聞いてみただけだよ」

 シンクタンク側の思惑はどうあれ、まだオペレーションの内容が暗殺である事は伝えずにおこう。

「じゃあまず、頭で覚えて貰おうか。これからみんなが修練するのは……」

 俺はプリントを配りながら裏法の存在を彼らに教えた。

「マジ? これも要焼却ですか?」

「ああ、でも【青龍】(セイリュウ)〜【玉女】(ギョクニョ)迄の術名一覧は持っていて結構だ。術の名前が解らないんじゃ話にならないからな」

 プリントの説明だけでは理解し辛そうなので、みんなを集団用のブースに移して、実際の術を披露する事にした。


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