ロ包 ロ孝
 ドゴォォオンン!

 凄まじい音と地響きがブース内にこだまする。

「渡辺ぇ、しっかり支えてくれないと危ないじゃないか。弱っちいな!」

 岡崎の逆襲である。

「畜生! わざと坂本さんに話し掛けたな?」

「はっはっ、そう、【玄武】は【者】の裏法なんだ。人に3倍力を授ける事が出来る。
 だから【者】に入っている者の力を9倍にする事が出来るんだ」

「俺の背筋力は200kgだから……1.8tもの重さを挙げられるって事ですか!」

「そうだ。でもその分身体にダメージが有るから、注意が必要なんだがな」

 俺はまず、この段階迄を伝授する事にした。


∴◇∴◇∴◇∴


 その後、スケジュールの都合で別々に修練を行う事になっていた2チームにも裏法を伝授した。

 エンジェルスOBの彼らにも残った術、吹き飛ばす【空陳】(クウチン)叩き潰す【南斗】(ナンジュ)飛び上がる【北斗】(ホクト)羽虫を操る【三台】(サンタイ)を伝授したが、一斉に教える事が出来なかった為にここ迄で20日間を費やしてしまう。

「裏法の奥義なんだが、これは目に見えないから振り戻しを防げない。危険過ぎる術だから希望者にのみ伝えようと思っている……」

 渡辺はすぐさま挙手して伝授を希望した。大方そうではないかと予想していたので、俺はもう一度念を押した。

「この術に関しては、他の術に置き換えられるならそちらを使う事を奨めたい。それだけ危険を伴う術なんだ」

「その【玉女】(ギョクニョ)は実際に見られないんですか?」

 生き物を皆焼き尽くすという術だ。イタズラに命を奪う事はしたくない。

「見せられない事も無いんだが、実験動物達を生きながら丸焼きにする所が見たいのか?」

「いやぁ、ご無理ならいいです。でも修得はしておきたいよなぁ、みんな」


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