ロ包 ロ孝
「何言ってるんだよ。渡辺だって、いつも坂本さんや栗原さんから目を掛けて戴けてるじゃないか。
今だってすぐ助けて戴いたりしてさ。そっちこそ羨ましいよ!」
彼には珍しく声を荒げている。でもあの遠藤がそんな風に感じていたとは、今まで思ってもみなかった。
栗原が敬称を嫌がったのと同じような事なのか。渡辺に対する俺のフランクな物言いと違い、遠藤にはそれなりの敬意を払って接して来たから、それが却ってよそよそしく思えていたのかも知れない。
「まぁまぁ、2人共。いいか? 花にはそれぞれの愛で方が有る。
それは人だって同じ事だ。俺は皆を一様に信じているし、頼りにも思っているんだからな?
その気持ちの重さは、どちらへ向けた物にも変わりない。だから君達にも思うところが有るだろが、ここはひとつ納めてくれないだろうか……ん?」
ふと背中に視線を感じて振り返ると、こちらをジーっと見詰めている佐藤氏と目が合った。
「ああっ、すいません。申し訳ないっ!
ほらほらみんなもまず、ちゃんと手を動かしてくれよ?」
「はーい」
───────
総書記を迎える為の段取りを完璧に整えなければならない為、俺達はマギー伸子の第一アシスタントを代役に立て、本番と寸分たがわぬリハーサルを行っている。
機材も大小道具関係も、もう微調整だけで事足りるようになったので、俺達は少し手持ち無沙汰になっていた。
その機を見て、新派のリーダーである関が行動を開始する。
「では坂本さん。我々は予定通りに」
「お願いします。くれぐれも身の安全を優先で」
「はい解りました。では」
暗転した舞台袖で手短に言葉を交わすと、関達4人は闇に溶けていった。
今だってすぐ助けて戴いたりしてさ。そっちこそ羨ましいよ!」
彼には珍しく声を荒げている。でもあの遠藤がそんな風に感じていたとは、今まで思ってもみなかった。
栗原が敬称を嫌がったのと同じような事なのか。渡辺に対する俺のフランクな物言いと違い、遠藤にはそれなりの敬意を払って接して来たから、それが却ってよそよそしく思えていたのかも知れない。
「まぁまぁ、2人共。いいか? 花にはそれぞれの愛で方が有る。
それは人だって同じ事だ。俺は皆を一様に信じているし、頼りにも思っているんだからな?
その気持ちの重さは、どちらへ向けた物にも変わりない。だから君達にも思うところが有るだろが、ここはひとつ納めてくれないだろうか……ん?」
ふと背中に視線を感じて振り返ると、こちらをジーっと見詰めている佐藤氏と目が合った。
「ああっ、すいません。申し訳ないっ!
ほらほらみんなもまず、ちゃんと手を動かしてくれよ?」
「はーい」
───────
総書記を迎える為の段取りを完璧に整えなければならない為、俺達はマギー伸子の第一アシスタントを代役に立て、本番と寸分たがわぬリハーサルを行っている。
機材も大小道具関係も、もう微調整だけで事足りるようになったので、俺達は少し手持ち無沙汰になっていた。
その機を見て、新派のリーダーである関が行動を開始する。
「では坂本さん。我々は予定通りに」
「お願いします。くれぐれも身の安全を優先で」
「はい解りました。では」
暗転した舞台袖で手短に言葉を交わすと、関達4人は闇に溶けていった。