ロ包 ロ孝
  バチッ バチバチッ ビシッ ビシシィイッ

 力を溜める関達の間に放電が起こる。稲妻に依って結ばれた3人の身体は青白い光に包まれて、その輝きを増していく。

「コォォォォオ」

 そして晴れていた上空が俄に掻き曇り、その雲が渦を巻くと、辺りの空気が関達に向かって吸い込まれていく。

「? なんだ? アレは」

 すると戦車からパラボラアンテナのような物が顔を出した。

「関さん、なんか出ました」

「構わん、このまま放つぞ、ザァァァアアッ!」

「ザァァアッ!」

  ガァァァアアッ ガァッガァァァァァアアア

 関達の放った3匹の【前】は、土煙を上げながら一直線に戦車へ向けて突進する。龍が通り抜けた後には三筋のえぐられた道が残った。

 だが次の瞬間。

  ォォォンッ! ゥオン! ゥゥオォン!

 戦車に到達する寸前に次々と龍が消えていく。

抉られた道を遡るように、ゆっくりと3つの小さい竜巻が動いていたが、いつしかそれも消え去った。

「?! な、なんだ? 一体。何が起こったんだ?」

「関さん! 消えました! 俺達の放った【前】の龍が消えちゃいましたっ!」

「解ってる! 太田、落ち着け! 【前】は消耗が激しい、打撃を放ってみるんだ。
【皆】【空陳】【南斗】を放ちまくれ」

「ダッ、ダダダッ」「シュッ、シュシュッ」「ダァァァッ!」

 関達が一斉に放った術は、ことごとく無に帰される。

「何だ? 奴ら【列】を張っているのかっ? しかし相手は戦車だ」

「駄目です! まるで刃が立たないっ」

 田中が狼狽えていると、最前列の戦車から降り立った里美が言い放った。

「残念だったわね。幾ら頑張ってもあたし達に術は通じないわよ?」

 敵方の軍服をまとった里美を見て、関もメールの内容が真実だったと理解した。


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