ロ包 ロ孝
「そうでも無さそうだ。お前達は自分の兵器を過信しているようだからな」

 俺は関に耳打ちして右翼側に走り込む。関も残った2人に言付けると、左翼側に走って行った。

「よし、いいぞ!」

 関が合図をすると【玄武】が俺に放たれる。

「ヮァァァアアア」

「ウシュッ! ウシュッ! ウシュウシュッ」「シュッ! シュッ! シュッ!」

 同じく【玄武】を受けて3倍力となった関が【陣】を、俺が【南斗】を共に、横からパラボラアンテナを挟むように放った。

  グシャッ! ズパッ!

 するとアンテナは紙のように潰れ、ポールも根元から切断された。

「左右から別々の音波が来たら、正面を向いたそのパラボラアンテナでは打ち消せまい。しかもこれは3倍力の術だ」

 俺がそう勝ち誇って言うのと同時に、戦車から煙と発射音が上がる。

  ダララララッ ダラララララッ

「ギャッ」「オワッ!」

 【玄武】を放つ為に全くの無防備だった2人の身体へ、機銃掃射の雨が降り注いだ。

「太田! 田中!」

  ダララララララララララ……

 血しぶきと共に倒れた2人を、執拗に射撃し続ける機銃。その弾道が目視出来る程、途切れなく弾丸が発射されている。俺達が駆け付ける間もなく、2人は只の肉片と化していた。

「太田ぁぁぁっ! 田中ぁぁぁっ!」

 関の悲痛な叫びが虚しく荒野にこだました。里美はアンテナを壊されたのにも関わらず、まだ余裕で微笑みを浮かべている。

「さすが淳。アンテナを破壊出来たのは凄いわね。盲点だったわ? でも、残った2人だけで何が出来るかしら。こっちは戦車なのよ? ほら」

 里美が片手を挙げて振り下ろすと、後方に控えていた戦車が隊列を進める。

  キュルキュキュキュルキュルキュルズズズズズ……


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