ロ包 ロ孝
「さだぁあ!」
「まさか……12倍速の佐田君があんな……簡単に……」
倒れたまま、びくびくと全身を痙攣させながら佐田は【闘】を使った。
『ぼ、僕は……さたですって。やられちゃいま、し……た』
【玄武】で3倍になった【闘】は術の限界を超え、渡辺達全員に届いた。
「佐田……」
渡辺は彼の名前を呼んだまま黙り込み、身動きひとつしない。
「渡辺さん、でもまだ死んだと決まった訳じゃないでしょう。
そうだ、まだ助かるかも知れない。俺行ってきます。フゥゥゥウ」
佐田と親しかった岡崎が先走って森を飛び出した。
「おい待てっ! お前っ……ああ、行っちまった。奴が見付かったら此処も安全とは言えない。
もう潮時だ。ここを出て、あいつをフォローしながら宮殿へ向かおう」
そこそこの休息は摂れた。それにいつまでもここに居たって、最早何の望みもないのだ。
「救援のヘリは恐らく、永遠に来ないでしょうからね」
渡辺達は【玄武】を放ちながら佐田の元へ駆け付けた岡崎の後を追う。先程のヘリは彼らに構うこと無く宮殿方面へと飛び去って行った。
すると走っている渡辺の元に【闘】が届いた。
『渡辺さん。エグッ、駄目みたいです。佐田の、佐田の手が吹き飛んでて……エグッ、辺りは血の海です。脈も有りませ……ウウッ』
「佐田にはまだ教えなきゃいけない事が有ったのに……」
渡辺は1人呟いた。
∴◇∴◇∴◇∴
「渡辺さんっ、僕にも柔道教えて下さいよ」
「さだはひょろっちいからな。少し鍛えた方がいいかもな」
「ひょろっちいってなんですか、それに僕はさたですから」
「まぁその内な。オペレーションの合間にでも時間作ろう」
エンジェルスの頃一緒に巡回した事や、OB会での思い出がよみがえり、渡辺も泣きたい気持ちだった。
「まさか……12倍速の佐田君があんな……簡単に……」
倒れたまま、びくびくと全身を痙攣させながら佐田は【闘】を使った。
『ぼ、僕は……さたですって。やられちゃいま、し……た』
【玄武】で3倍になった【闘】は術の限界を超え、渡辺達全員に届いた。
「佐田……」
渡辺は彼の名前を呼んだまま黙り込み、身動きひとつしない。
「渡辺さん、でもまだ死んだと決まった訳じゃないでしょう。
そうだ、まだ助かるかも知れない。俺行ってきます。フゥゥゥウ」
佐田と親しかった岡崎が先走って森を飛び出した。
「おい待てっ! お前っ……ああ、行っちまった。奴が見付かったら此処も安全とは言えない。
もう潮時だ。ここを出て、あいつをフォローしながら宮殿へ向かおう」
そこそこの休息は摂れた。それにいつまでもここに居たって、最早何の望みもないのだ。
「救援のヘリは恐らく、永遠に来ないでしょうからね」
渡辺達は【玄武】を放ちながら佐田の元へ駆け付けた岡崎の後を追う。先程のヘリは彼らに構うこと無く宮殿方面へと飛び去って行った。
すると走っている渡辺の元に【闘】が届いた。
『渡辺さん。エグッ、駄目みたいです。佐田の、佐田の手が吹き飛んでて……エグッ、辺りは血の海です。脈も有りませ……ウウッ』
「佐田にはまだ教えなきゃいけない事が有ったのに……」
渡辺は1人呟いた。
∴◇∴◇∴◇∴
「渡辺さんっ、僕にも柔道教えて下さいよ」
「さだはひょろっちいからな。少し鍛えた方がいいかもな」
「ひょろっちいってなんですか、それに僕はさたですから」
「まぁその内な。オペレーションの合間にでも時間作ろう」
エンジェルスの頃一緒に巡回した事や、OB会での思い出がよみがえり、渡辺も泣きたい気持ちだった。