ロ包 ロ孝
「あんなの里美さんじゃないよ……。
そそ、そうだ。アレは里美さんの偽物に違いないんだ!」
渡辺は頭を抱えながら盛んに振って、今直面している現実が受け入れられずにもがいている。
「渡辺さん……」
岡崎が見兼ねて声を掛けるが、それを振り切って渡辺は叫んだ。
「だって、だって本物の里美さんがあんな事言う訳無いじゃないかっ! 違う! 違うんだ!」
子供のようにイヤイヤをしながら渡辺は喚いている。
「そうだ遠藤っ岡崎っ! 3倍【前】だ。山本さん達はそれぞれ【玄武】を自分達に!
奴の化けの皮を剥がしてやるっ!」
「解ったわ渡辺さん! フゥゥゥウ」
「ちっくしょう! ぬぅぉぉおおおをっ!」
渡辺達は目前で起こっている事から逃げるように、術へと気持ちを集中した。
ゴ ゴッ ズッ ズズ
3倍の力で溜められる気合いは地面を揺るがし、暗雲を呼ぶ。
そうだ。里美は、いや金 智賢(キム・ジヒョン)は、俺達を欺いてここまで連れてきた、にっくき敵の指揮官だ。
彼女の下した令に依って秋山、佐田、太田と田中の尊い命。死なずに済んだ筈の多くの敵兵の命が失われた。
最早彼の国に依って施された根深いマインドコントロールが、そう簡単に解ける筈もない。
俺達が引導を渡してやる事が、彼女に取っても幸せな筈。それが彼女の奸計を未然に防ぐ事が出来なかった俺達の責任でもあるのだ。
ビッ ビシッ バチバチッ!
放電を始めた渡辺達の上空に有った雲がどんどんとその濃さを増し、彼らが放つ光と同調するかのように怪しく明滅を繰り返す。
ゴロロロ……ゴロロロ ゴロ……
厚く層を成した雲は威嚇の唸り声を響かせる。今すぐにでも稲妻を喰らわせてやろうと牙を研ぎ澄ませ、身構えている猛獣のようだ。
そそ、そうだ。アレは里美さんの偽物に違いないんだ!」
渡辺は頭を抱えながら盛んに振って、今直面している現実が受け入れられずにもがいている。
「渡辺さん……」
岡崎が見兼ねて声を掛けるが、それを振り切って渡辺は叫んだ。
「だって、だって本物の里美さんがあんな事言う訳無いじゃないかっ! 違う! 違うんだ!」
子供のようにイヤイヤをしながら渡辺は喚いている。
「そうだ遠藤っ岡崎っ! 3倍【前】だ。山本さん達はそれぞれ【玄武】を自分達に!
奴の化けの皮を剥がしてやるっ!」
「解ったわ渡辺さん! フゥゥゥウ」
「ちっくしょう! ぬぅぉぉおおおをっ!」
渡辺達は目前で起こっている事から逃げるように、術へと気持ちを集中した。
ゴ ゴッ ズッ ズズ
3倍の力で溜められる気合いは地面を揺るがし、暗雲を呼ぶ。
そうだ。里美は、いや金 智賢(キム・ジヒョン)は、俺達を欺いてここまで連れてきた、にっくき敵の指揮官だ。
彼女の下した令に依って秋山、佐田、太田と田中の尊い命。死なずに済んだ筈の多くの敵兵の命が失われた。
最早彼の国に依って施された根深いマインドコントロールが、そう簡単に解ける筈もない。
俺達が引導を渡してやる事が、彼女に取っても幸せな筈。それが彼女の奸計を未然に防ぐ事が出来なかった俺達の責任でもあるのだ。
ビッ ビシッ バチバチッ!
放電を始めた渡辺達の上空に有った雲がどんどんとその濃さを増し、彼らが放つ光と同調するかのように怪しく明滅を繰り返す。
ゴロロロ……ゴロロロ ゴロ……
厚く層を成した雲は威嚇の唸り声を響かせる。今すぐにでも稲妻を喰らわせてやろうと牙を研ぎ澄ませ、身構えている猛獣のようだ。