ロ包 ロ孝
ババババラバラバラバラ……
しかし上空を旋回する、総書記の乗ったヘリの音ばかりで何も聞こえない。
俺の頭には、渡辺が初めて事務所を訪れて来た時からの思い出がフラッシュバックしていた。
「お早うございます。お電話させて頂いた渡辺達也と申します」
「ひぇっ、すんません。朝礼の後に父母会って坂本さんが言うから……」
「坂本統括ファウンダー、了解です」
「やだなぁ、坂本さんはぁ」
過去の映像の中で、彼はいつも俺に笑顔を向けてくれていた。そしていつも俺を気遣って、全力で支えてくれた。
彼が居たからこそ、その笑顔が有ったからこそ皆をここまで引率してこれたのに……それなのに……。
ゴツン
フラフラと当てもなく歩を進めた俺の爪先に何かが当たったので見下ろしてみると、そこにあったのは渡辺の金髪頭だった。
「グッ…………なっ!!!!」
鼻から下は跡形も無く吹き飛んでいたが、その目はいつものように微笑んでいる。
「た……達っつぁ……」「達っつぁんをよくも! ぬぅぉぉぉお」
俺が呟くが早いか、誰かが【前】を放とうと力を込めている。関さんか? でも彼は達っつぁんとは呼ばない筈だ……。
ふと顔を上げると、目の前で光に包まれているのは誰あろう里美だった。
「里美、里美! 正気に戻ったのか!」
『喋らないで淳。知賢に打ち克ったわ? もう大丈夫よ』
俺も里美に【闘】を送る。
『里美なのか? お前はここの人間だっだんじゃないのか?』
里美は俺を見据え、力を溜める振りをしながら答える。
『それはあたしが吹き込まれた幻想よ! あたしは日本人。貴方だけの里美よ!』
『里美! 良かった! 一緒に日本へ帰ろう』
『うん。貴方を狙う振りをして総書記のヘリを【前】で墜とすわ? 淳はその隙に、あたしを拐って逃げて!』
『里美、お前は強いよ』
『淳……って、こうしちゃ居られないのよ』
彼女はマインドコントロールを自らの精神力で拭い去った。そしてこの顛末の元凶たる総書記を亡き者にしようとしている。
しかし上空を旋回する、総書記の乗ったヘリの音ばかりで何も聞こえない。
俺の頭には、渡辺が初めて事務所を訪れて来た時からの思い出がフラッシュバックしていた。
「お早うございます。お電話させて頂いた渡辺達也と申します」
「ひぇっ、すんません。朝礼の後に父母会って坂本さんが言うから……」
「坂本統括ファウンダー、了解です」
「やだなぁ、坂本さんはぁ」
過去の映像の中で、彼はいつも俺に笑顔を向けてくれていた。そしていつも俺を気遣って、全力で支えてくれた。
彼が居たからこそ、その笑顔が有ったからこそ皆をここまで引率してこれたのに……それなのに……。
ゴツン
フラフラと当てもなく歩を進めた俺の爪先に何かが当たったので見下ろしてみると、そこにあったのは渡辺の金髪頭だった。
「グッ…………なっ!!!!」
鼻から下は跡形も無く吹き飛んでいたが、その目はいつものように微笑んでいる。
「た……達っつぁ……」「達っつぁんをよくも! ぬぅぉぉぉお」
俺が呟くが早いか、誰かが【前】を放とうと力を込めている。関さんか? でも彼は達っつぁんとは呼ばない筈だ……。
ふと顔を上げると、目の前で光に包まれているのは誰あろう里美だった。
「里美、里美! 正気に戻ったのか!」
『喋らないで淳。知賢に打ち克ったわ? もう大丈夫よ』
俺も里美に【闘】を送る。
『里美なのか? お前はここの人間だっだんじゃないのか?』
里美は俺を見据え、力を溜める振りをしながら答える。
『それはあたしが吹き込まれた幻想よ! あたしは日本人。貴方だけの里美よ!』
『里美! 良かった! 一緒に日本へ帰ろう』
『うん。貴方を狙う振りをして総書記のヘリを【前】で墜とすわ? 淳はその隙に、あたしを拐って逃げて!』
『里美、お前は強いよ』
『淳……って、こうしちゃ居られないのよ』
彼女はマインドコントロールを自らの精神力で拭い去った。そしてこの顛末の元凶たる総書記を亡き者にしようとしている。