ロ包 ロ孝
 龍達が通った後は漆黒の大地がブスブスと鈍い音を立て、くすぶっている。

 そこに居た筈の軍隊、兵士も戦闘機も、そして戦車までもが、只の土くれと見分けが付かないようになっていた。

「終わったよ。……あれ? 里美?」

  グウォォンンッ!

 そこに里美の姿は無く、俺の手には黒焦げになった結婚指輪が握り締められていただけだった。

「里美っ」

  グゥゥウォォンン!

「どこだ? 里美!」

  グゥゥォォオンン!

「どこへ行った? 出ておいで、里美」

  グゥゥウォォンッ!

 俺が里美の名前を口にする度に、上空へ白い龍が放たれていく。





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