ロ包 ロ孝
里美の進み具合も巻物のお陰でかなり早くなり、岩沢に切迫して来た。
音力のシステム上、岩沢が段階を上げるか、新たに上位の術者を迎えなければ里美が次の術を修得する事は出来ない。そんな理由も有り、岩沢に修練を付ける為に本部から千葉という男が派遣されて来た。
彼は全てにおいて岩沢とは対照的な、細くて色白、銀ブチ眼鏡がいかにも頼りなげな小男だった。
しかし、やはり声は太い。
蠢声操躯法を操る術者は皆、太く大きい声が不可欠のようだ。
里美の情報に依ると千葉は免許皆伝に後一歩らしい。音力が如何にして蠢声操躯法の最終奥義である【前】(ゼン)を知り得たかは解らないが、実際にその修練を行っている人物がその千葉という訳だ。
「千葉さんっ、初めまして、山崎です。宜しくお願いします」
「お? 噂は聞いてますよ? こちらこそお手柔らかに」
情報を掴む為、早速里美は接近を試みていた。
∴◇∴◇∴◇∴
「でもね……あの人凄くいやらしいの」
会社帰りに2人で寄る事が恒例となったショットバーで、里美が泣き付いてきた。
「この間の修練の時なんか、椅子に座ってるあたしを上から覗き込むようにして……アレ、絶対胸を覗いてたんだわ?」
なんだと? 千葉のヤツめっ! まだ俺でさえそんなあからさまな事は出来ないというのにっ!
「ねぇ、坂本さん! どう思う? ねぇってば!」
「う〜ん。ヤツは音力の中枢に近い部分と接触してるだろうしなぁ……なんとか堪えてくれないか?」
本心はハラワタが煮えくり返っている俺なのに、また冷静さを装ってしまっている。
音力のシステム上、岩沢が段階を上げるか、新たに上位の術者を迎えなければ里美が次の術を修得する事は出来ない。そんな理由も有り、岩沢に修練を付ける為に本部から千葉という男が派遣されて来た。
彼は全てにおいて岩沢とは対照的な、細くて色白、銀ブチ眼鏡がいかにも頼りなげな小男だった。
しかし、やはり声は太い。
蠢声操躯法を操る術者は皆、太く大きい声が不可欠のようだ。
里美の情報に依ると千葉は免許皆伝に後一歩らしい。音力が如何にして蠢声操躯法の最終奥義である【前】(ゼン)を知り得たかは解らないが、実際にその修練を行っている人物がその千葉という訳だ。
「千葉さんっ、初めまして、山崎です。宜しくお願いします」
「お? 噂は聞いてますよ? こちらこそお手柔らかに」
情報を掴む為、早速里美は接近を試みていた。
∴◇∴◇∴◇∴
「でもね……あの人凄くいやらしいの」
会社帰りに2人で寄る事が恒例となったショットバーで、里美が泣き付いてきた。
「この間の修練の時なんか、椅子に座ってるあたしを上から覗き込むようにして……アレ、絶対胸を覗いてたんだわ?」
なんだと? 千葉のヤツめっ! まだ俺でさえそんなあからさまな事は出来ないというのにっ!
「ねぇ、坂本さん! どう思う? ねぇってば!」
「う〜ん。ヤツは音力の中枢に近い部分と接触してるだろうしなぁ……なんとか堪えてくれないか?」
本心はハラワタが煮えくり返っている俺なのに、また冷静さを装ってしまっている。