ロ包 ロ孝
『3〜5年前に変わった事とな』

「泥棒に入られたとか、人の出入りが有ったとか……」

 電話口で暫く考え込んでいた祖父だったが、今回はすぐに答えを見出だした。

『んん。……おお、そうじゃ! 淳も知っての通り、蔵に仕掛け箪笥が有ったじゃろ。あれを作らせたのが丁度その頃じゃ。
 4等だったか……宝くじが当たっての』

 祖父はその当選金の一部を箪笥の製作費に充てたらしい。

「爺ちゃん。注文した所は解るか?」

『領収書が残っている筈じゃ、調べて後でまた電話するわい』

 ……なんとかこれで手掛かりを掴めそうだ。


───────


 程無くして祖父から連絡が入った。本家の最寄り駅から3つばかり行った所に有る工務店らしい。

情報収集は里美以外に考えられないので、俺は彼女に頼み込んでそこへ行って貰う事にした。


∴◇∴◇∴◇∴


「お爺さま〜里美ですぅ〜バッチリ調べて来ましたよぉっ!」

「! こりゃまた随分目にヨロシクない衣裳じゃのぉ」

 調査の報告と細部の確認を行う為に、里美は再び高倉家を訪れていた。

「目にはヨロシクなくても寿命は延びそうでしょ? ホラ」

 里美は深くお辞儀をして祖父にそこを見せた。

「そのぉ……乳当てが邪魔なんじゃが」

「駄目よお爺さま。この下は淳だけの物なんですから! それはそうと巻物の件ですけど……」

 里美は工務店の主人から聞いてきたという話を祖父に伝えた。

「なんじゃと? あのクソ大工め! そうか、蔵に侵入しようとした跡を見付けたから隠し場所を作ろうと思ったんじゃが、その時点でもう繋がっとったのか!
 むむぅ……許せんっ!」


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