ロ包 ロ孝
「巻物を隠す場所はその形にピッタリ枠を作るから……とか何とか言いおって、一度持って行った事が有るわい!」

「多分その時に情報が盗まれたんですわ?」

「ううむ、考えるだに忌々しい!」

 工務店の主人は政府の工作員である北田という男から話を持ち掛けられ、500万でそれを請け負ったのだと言う。

「でも、政府から圧力を掛けられたのでは、彼にあらがう事は出来なかったと思います」

 里美は祖父の手を握り、自分の胸に押し当てて言う。

「罪を憎んで人を憎まずですわ? お爺さま」

「ま、まぁ里美さんがそう言うなら……しかし政府とは大きく出たもんじゃの」


───────


 その次の日、さっそく俺は祖父と電話していた。

「里美に言われたからって、何もしないで引き下がったのか? 爺ちゃん」

 やはり祖父は金と女にはからきし弱い『駄目ジジイ』だ。

『今更大工にどうこう言っても始まらんじゃろう。淳も子供じゃな。フォォォッフォッフォッ』

 里美から諭(サト)されなかったら、自分が工務店へ乗り込んでいた癖にっ!

俺はそう思ったがまぁいい。情報は掴めたのだから……。

「政府の工作員、北田か。しかしアイツ、どうやったらそんな事迄聞き出せるんだろう」

 今回もそうだが、里美がいざ行動を起こすとライバル会社の極秘情報でさえ、いとも簡単に入手してくる。その鮮やかな手並はいつも俺を驚かせていた。

『色仕掛けじゃな』

「なに?」

『あの豊満な肉体を駆使して聞き出しとるんじゃ! 家に来た時も、それはそれはイヤラシイ格好をしとった! ムフォフォ』


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