ロ包 ロ孝
「しかし話が大袈裟になって来たよな……。まさかそんな所に繋がるとは……」

 祖父の話を聞いた俺は驚きを隠せなかった。しかし考えてみれば、蠢声操躯法の秘密を盗んだのが本当に政府の仕業なのかは疑問だ。大企業や宗教団体という向きも捨てきれないし、右翼や左翼等の思想集団かも知れない。ヤクザだという可能性も有る。

「しかし政府は無いだろう。有り得ん話だ」

 国が相手というのは規模がデカ過ぎる。その名前を騙(カタ)った方が聞こえがいいからに決まってるじゃないか。

俺はそう自分に言い聞かせていた。


∴◇∴◇∴◇∴


 いつものショットバー。これからの事について里美と作戦会議だ。

「大体そんな所かな。政府機関という事もあくまで一応視野に入れて調査して行こう」

 北田という男が、今音力に関与しているのかは解らないが、キーマンの1人である事は確かだ。

「里美は千葉からの情報を出来るだけ集めてくれ。でも慎重にな、危険は犯すな」

 これはライバル会社の情報をくすねるのとは訳が違う。俺は里美の身を案じていた。

「大丈夫よ。ヘマはしない。でも有難う、淳。あたし愛されてるのね! アレが終わったらすぐ抱いてネ?」

「あ、ああ」

 そっぽを向いてつれない返事の俺。内心は思い切りガッツポーズなのだが、まだまだ素直になり切れない。

「今回の調査は良くやってくれた。
 お前じゃなければ1日であれだけの情報を集めるのは無理だ。
 お前は……イヤ里美は俺の最高のパートナーだよ!」

「あたしも淳の為に働けて、最高の気分だわ? これからもずうっと一緒に居ましょうね!」


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