ロ包 ロ孝
俺はくすぐったくも上機嫌になった。でもこれってもしかして……いいように操縦されているだけかも……。
祖父の家でもそうだったように、またエプロン姿の自分が脳裏をかすめた。
「ねぇ、淳」
里美が急に顔を近付けて来る。メイクを直してきたのか、オフィスで見るより自然な瞳がそこに有る。
「な、なんだ?」
「あたし達付き合ってるのに、なぁんか忘れてない?」
そしてくるくるとその大きな瞳が俺に問い掛ける。
「なんだろぉ、な」
俺は考える振りをして里美の胸を見ていた。
「ねぇ……。どこ見てんのよ!」
「あ、いや……」
「あたし、しっかり歯磨きしてきたのよ?」
そうか。なんて可愛いヤツだ。俺は思わず口付けた。
───────
里美が支度を始めてから小1時間。いい匂いがしてきた、和風のご飯だ。
「お? 肉じゃがか。そう、肉じゃがはやっぱり芋と牛肉だけだよな」
「でしょう? バランスは小鉢で取ってね」
ほうれん草の胡麻汚し、キュウリとザーサイを刻んでかけてある冷奴、メカブとキクラゲの酢の物、味噌汁はタマネギたっぷりの白みそ仕立て。
何の変哲も無い献立だが、どれもウマそうに並んでいる。
「料理もちゃんとするんだな」
「そりゃそうよ。これでも女なんですから」
「じゃ、頂くとしますかね」
いただきまぁす。ま……マズッ! こりゃ味を教え込むのに苦労するぞ?
「おいしい?」
「お……おお。頑張ったな」
「嘘っ! 顔に出てるもん。淳に喜んで貰えなかったぁ」
祖父の家でもそうだったように、またエプロン姿の自分が脳裏をかすめた。
「ねぇ、淳」
里美が急に顔を近付けて来る。メイクを直してきたのか、オフィスで見るより自然な瞳がそこに有る。
「な、なんだ?」
「あたし達付き合ってるのに、なぁんか忘れてない?」
そしてくるくるとその大きな瞳が俺に問い掛ける。
「なんだろぉ、な」
俺は考える振りをして里美の胸を見ていた。
「ねぇ……。どこ見てんのよ!」
「あ、いや……」
「あたし、しっかり歯磨きしてきたのよ?」
そうか。なんて可愛いヤツだ。俺は思わず口付けた。
───────
里美が支度を始めてから小1時間。いい匂いがしてきた、和風のご飯だ。
「お? 肉じゃがか。そう、肉じゃがはやっぱり芋と牛肉だけだよな」
「でしょう? バランスは小鉢で取ってね」
ほうれん草の胡麻汚し、キュウリとザーサイを刻んでかけてある冷奴、メカブとキクラゲの酢の物、味噌汁はタマネギたっぷりの白みそ仕立て。
何の変哲も無い献立だが、どれもウマそうに並んでいる。
「料理もちゃんとするんだな」
「そりゃそうよ。これでも女なんですから」
「じゃ、頂くとしますかね」
いただきまぁす。ま……マズッ! こりゃ味を教え込むのに苦労するぞ?
「おいしい?」
「お……おお。頑張ったな」
「嘘っ! 顔に出てるもん。淳に喜んで貰えなかったぁ」