ロ包 ロ孝
「すすっ、すいません主任、いや課長。山崎さんからはこうやっていつもペット扱いなんすよ……」
我が社の業務拡大に伴う配置転換の時、栗原は有能な即戦力としてうちの部に配属されてきた。
その時教育係だったのが里美で、栗原はいいように調教されてしまっているのだ。
「勿論身体の関係は無いのよ? だから許してあげてネ?」
里美が口を挟むが、なんだか気まずい空気になってしまった。
「別に気にしちゃいないよ。じゃあ店を変えようか」
そう言って腰を上げようとした時だった。
ガタン!
「ざけんなこの野郎! ぶっ、ぶっ殺してやる!」
なんだ? 酔っ払いか?
椅子を蹴り倒して立ち上がったひとりの大男。サングラスに刈り込んだ頭、じゃらじゃらと首から下げた金の鎖が如何にもという感じだ。
しかもその手にはバタフライナイフが光っている。
「やばいよ、アイツ」
「Sキメちゃってるみたいだぜ?」
その男を遠巻きにしながら、こそこそと外野が囁き合っている。男はナイフを振り回し、辺りの人達を威嚇しながら叫ぶ。
「くっ、来んな! なんだぁ? お前らもまとめてぶっ殺してやろうかぁっ!」
男は黒いブラウスの袖を肘まで捲ってナイフを構え直す。それを見ていた里美が、いたずらっぽく俺に囁く。
「淳、ちょっと試してみる? あたしが【在】でナイフを……」
「よし、それでやってみようか」
里美はウィンクすると男に向き直って発声する。
「ヒョォォォォォォ」
僅かに風を切るような音が聞こえたかと思うと、
「ん、なんだ? っ手が、手が勝手にっ……」
男の左手が右手からナイフを取り上げ投げ捨てる。俺はその後、奴を目がけて発声した。
我が社の業務拡大に伴う配置転換の時、栗原は有能な即戦力としてうちの部に配属されてきた。
その時教育係だったのが里美で、栗原はいいように調教されてしまっているのだ。
「勿論身体の関係は無いのよ? だから許してあげてネ?」
里美が口を挟むが、なんだか気まずい空気になってしまった。
「別に気にしちゃいないよ。じゃあ店を変えようか」
そう言って腰を上げようとした時だった。
ガタン!
「ざけんなこの野郎! ぶっ、ぶっ殺してやる!」
なんだ? 酔っ払いか?
椅子を蹴り倒して立ち上がったひとりの大男。サングラスに刈り込んだ頭、じゃらじゃらと首から下げた金の鎖が如何にもという感じだ。
しかもその手にはバタフライナイフが光っている。
「やばいよ、アイツ」
「Sキメちゃってるみたいだぜ?」
その男を遠巻きにしながら、こそこそと外野が囁き合っている。男はナイフを振り回し、辺りの人達を威嚇しながら叫ぶ。
「くっ、来んな! なんだぁ? お前らもまとめてぶっ殺してやろうかぁっ!」
男は黒いブラウスの袖を肘まで捲ってナイフを構え直す。それを見ていた里美が、いたずらっぽく俺に囁く。
「淳、ちょっと試してみる? あたしが【在】でナイフを……」
「よし、それでやってみようか」
里美はウィンクすると男に向き直って発声する。
「ヒョォォォォォォ」
僅かに風を切るような音が聞こえたかと思うと、
「ん、なんだ? っ手が、手が勝手にっ……」
男の左手が右手からナイフを取り上げ投げ捨てる。俺はその後、奴を目がけて発声した。