僕は君に恋をした。
君の唄。
君の歌声。
唄の歌詞。
僕の心は一瞬にして彼女に奪われた。
聴いていてとても心地いい。
「“さよなら 言わないで
我慢してた涙が 溢れだす
せめて 君に好きだって
伝えたかった…”」
君の頬に光る雫。
僕の足は無意識に動き出して
彼女の前に立ってそっと着ていたスーツのポケットからハンカチを取り出して
「こんな夜遅くに君みたいな若い子が外出てると危ないよ。」
僕は君に声をかけた。