君の虚実に恋してる
「…真由のことなんだけど」
キタ。
真由さんは部長の彼女だ。
部長は真由さん一筋だから少しのすれ違いも大きく落ち込む。
わたしは部長の心を右往左往させる真由さんを羨ましくも憎くも思う。
「どうしたんですか?喧嘩でも…?」
「真由、浮気してるかもしれないんだ」
「えっ…」
ただの喧嘩じゃないの?
あんなに仲良しなんだから部長の間違いじゃないかと思う。
「かっつと…」
「ええっ?」
まさかの組み合わせ。
どちらにしても信じられない。
「真由とかっつってそういうのしないかんじだろ?まさかって…思ったけど」
「な、なんで疑ってるんですか」
「真由の鞄の中からメモ見つけて」
「メモ?」
「ふせんだと思うんだけど、そこに"19日、PM:10、晋の家"って書いてあったんだ」
ぴーえむてん…?
って午後10時!?
そんな夜中に部屋に訪れるなんていかにも…じゃないか。
「晋って…」
「かっつしかいないだろ?」
「勘違い、じゃないですか?」
だってあの二人がそういう仲だなんて見えない。
「真由、かっつのこと晋って呼んでるよ」
「嘘っ!刈田くんって…」
「隠してるんだ。…隠すなんてより怪しいだろ」
部長はつらそうに目を伏せる。