君の虚実に恋してる


どんなにロマンチックな状況で言うんだろう。とか、きっと緊張しすぎてちゃんと発声出来ないかも。と思ったけど、現実はこんなものだった。

ロマンチックじゃないし、滑り落ちるように言葉が出た。



告白するつもりなんて、なかったのに。
どうせ、あっけなく終わってしまうのに。



「…だから、部長がそんなことで悩んでるなんていてもたってられません」


「エノキ…俺、ほんとに」

「謝るのはなしですよ。わたしもこんなタイミングで言うはずじゃなかったのに…」

「…ごめん」

「やめてください。どの意味なのか、わかりません…」


さっきは部長なんて困ってしまえばいい!と思ったはずなのに…。
悲しんでる部長を見たら「ああ、馬鹿なことしたな」なんて後悔してきた。



「ごめんなさい…返事はわかってます。でも、いま、返事しないで下さい」


わがままなのはわかってる。
それでも大切にしてきた気持ちをここで全て捨てれる勇気はない。


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