君の虚実に恋してる
「はい。この人です」
わたしは去年の文化祭の時にみんなで撮った写真を見せた。
「ふんふん。一つ上なんだね。結構格好いいね」
くすっと笑われて気恥ずかしくなった。
レイさんには何もかも見透かされてそう。
「彼女さんがいるんです。この写真でいうと部長の右となりの子です」
携帯画面に映し出された写真を指差した。
身長の小さい、可愛らしい彼女だ。
勝てる要素は、ない。
「ふうん…なんか佐原くんって子は裏なさそうね。でも、少し馬鹿かも」
「えっ…そんなことないですよ!」
「彼女は性格悪そうねえ」
「…」
「あら、なんか知ってるのかな?」
「少し…」
「あとこの子も問題ありそうね」
「ええっ!かっつ先輩が?この人超良い人ですよ」
レイさんを完全に信じている訳じゃないけど、意外すぎる言葉に身を乗り出した。