オルゴール
「拓・・・待ってよ・・・」
愛華がそう言うと拓はピタリと止まった。
「・・ごめん。」
ポツリとそうつぶやいた。
愛華の顔を見ずにうつむいたままだ。
「拓が謝る事じゃないよ。コレは誰も悪くないよ」
「そ・・・だよな」
拓は顔をあげ、ニカっと笑った。
でも、その笑顔には少し暗かった。
「教室もどろっかぁーみんな拓が怒ったから驚いてたよー?」
「ほんとかよーまぁ、オレはあんまり怒らないもんなー」
「自分で言うな!!」
アハハハ・・・・・・・



「拓ーあそぼー」
学校が終わって拓の家の前で愛華は叫んだ。
「へいへーい」
拓は家から出てきた。
行き先は決まってる、いつもの公園だ。
「侑は今日居ないの?」
「裕は遊ぶ約束してたんだって。奈々は?」
「奈々も。遊ぶ約束しててたんだって。」
最近、前と比べて4人で遊ぶ事が少なくなってきた。
みんな違う友達と遊ぶようになったからだ。
「なんか、寂しいよなー」
拓はさびしげに言った。
「だね。しょうがないんだよ、多分こういうのは。」
「だな・・・」
なぜか沈黙が続いた。
愛華は沈黙を破った。
「拓、今日怖かったよ?なんで怒ったの??」
愛華が質問した瞬間拓の表情が曇った。
まただ。
「別に・・・・」
「アタシたち、結婚なんてしないし、付き合ってもないのにひどいよねー拓とはただの幼馴染の友達なのにね」
バンッッ!!!
拓が持っていた飲みかけのジュースの缶を思いっきり投げた。
突然の事だった。
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